2001年7月6日

沖縄県における女性暴行事件の容疑者身柄引渡しについて(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 渕上貞雄

  1. 本日、米国政府は日本政府に対して、沖縄県北谷町における女性暴行事件の米空軍嘉手納基地所属軍曹、ティモシー・ウッドランド容疑者の身柄引渡しに同意すると伝えてきた。当然の回答が事件発生から7日間も経たなければ日本政府に届かないと言うことは、誠に遅きに失したといわざるを得ない。

  2. 沖縄県内では、以前から米兵による暴力事件や性犯罪が度々発生してきた。犯罪発生の度ごとに、米政府、米軍は綱紀粛正を約束してきたが、これらの「綱紀粛正」に何らかの効果がないことはすでに明らかである。米軍の相次ぐ事件・事故に対する謝罪と綱紀粛正、再発防止の誓いは、結果的に県民を裏切り続けてきた。ここに、今回の女性暴行事件の深刻さがある。

  3. 米国防総省は起訴前の引渡し同意にこれだけの時間をかけたことは、今回、日本に譲歩的態度を見せれば、全世界に展開する米兵が同様の犯罪行為を犯したときの先例となることを極めて恐れたためだと指摘されている。米国政府は世界に展開する米兵の犯罪事案に際しても、米兵の人権を最も擁護すると言うことで有名であるが、しからば、暴行と言う女性にとって、最も衝撃的な凶悪犯罪の被害を受けた日本女性の人権はどうなるのか、というのが日本国民の素直な気持ちであろう。自国の兵隊の権利擁護に拘泥するあまり、他国の被害女性の人権を軽視してよいということには、決してならないということを、米国政府は再認識すべきである。

  4. 今回の事件は、1995年の日米地位協定の運用改善という口頭了解が、いかに役に立たないものを如実に示した。このような痛ましい事件を二度と繰り返さないためには、不平等条約だとして批判の強い日米地位協定を抜本的に改正し、日本における米軍人の犯罪行為には日本の法律を適用するという、当然の条理を適用できるようにすること。さらには、在沖縄海兵隊をはじめとする駐留米軍兵力の大幅削減、並びに、米軍基地の整理縮小を断行するしかない。しかし、軍事面で米国に従属的外交を一貫して続けてきた自民党内閣にこれらの重要な改革をなす意思があるのかを強く問いたい。他国との軍事同盟を優先し、国民の生命・人権を擁護し得ない内閣は「聖域なき改革」をさけぶ資格は全くないと警告したい。

以上