平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算及ぴ平成十一年度政府関係予算につき
撤回のうえ組み替えを求めるの動議  

平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係予算については、政府はこれを撤回し、左記により速やかに組み替えることを要求する。  

平成十一年二月十九日   社会民主党  

第一、組み替えを求める理由

 今、日本経済は大きな曲がり角にさしかかっている・景気回復が進み経済の安定的成長がはかれるのか、それとも景気悪化の傾向を強めるのか、これはひとえに政府の経済政策いかんにかかっている。

 現下の不況は、国民の生活への先行き不安に起困しており、景気の現状と厳しい国民生活を打開するには、従来型の公共事業中心の景気対策ではなく、国民の先行き不安を解消する対策こそ求められている。

 しかるに、三十一兆円もの国債発行によって賄われようとしている政府予算案は、相も変わらず公共事業偏重であり、既得権益誘導型の予算である。使途が明確でない公共事業予備費五千億円の予算計上も、単に規模を膨らませれぱよいという発想でしかなく、景気対策としての目標を見失ったものである。

 定率方式による滅税案にしても、給与所得者の九割近くが実質増税になる高額所得者優遇の減税案でありとうてい容認できない。しかも政府が年金・介護・医療への不安や雇用不安など、国民の先行き不安に、どれだけ真剣に応えようとしているのか極めて疑問である。

 とくに年金は賃金スライド制が凍結され、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げも見送られている。わが党が提案し実施されてきた臨時福祉特別給付金の支給も打ち切られる。高齢者層に対する温かな配慮に欠けているぱかりでなく、高齢社会に対応した年金構造改革の視点が欠落した予算案であるといわざるをえない。

 さらに少子化対策においても、二十一世紀に向けて最も重視しなけれぱならない「子育てに対する支援」等も、これまでの延長線上の対策に過ぎず、少子社会への対応の展望を久いている。

 こうした点を踏まえるならぱ、政府予算案を原案のまま承認することはとうていできない。左記の重点事項に基づいて抜本的に組み替えを行うべきである。

第二、組み替えの内容

一、二兆円以上の定額方式による特別滅税を行う。

二、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度を創設する。
 年間収入一千万円までの世帯に最高五万円を給付  

三、臨時福祉特別給付金の継統拡充(五千億円)
 臨時特別給付金一人三万円、臨時福祉給付金一人三万円、臨時介護福祉金一人五万円

四、雇用対策の充実

 1)雇用不安の発生を事前に予防する施策として「雇用調整助成金制度」の助成期間を拡充する。
 2)失業給付と結合して、能力開発プログラム・体制等を抜本的に拡充するとともに、訓練延長給付を適用する。その上で、会社都合の失業者に対する一般的な失業給付についても支給期間のかさ上げを行う。
 3)深刻の度を増す未就職新卒者の内定状況を踏まえ、実効性ある新卒者対策を図るために、有給のインターンシップ制度を創設する。
 4)失業者の積極的な採用企業に対する優遇税制の創設を行う。
 5)倒産など雇用の激変によって生じる労働者の生活不安に的確に対処するため、内職等の従事者も含めた未払賃金の立替払いの仕組みについて抜本拡充を図る。
 6)公的関与による雇用創出策の一環として、ホームヘルパーの百万人雇用創出をはかる。

五、新児童手当を創設する(三兆円)
 児童手当の支給対象を義務教育までの児童とする。収入制限を設け世帯収入一千万円以下とする。支給額は第一子一万円、第二子二万円、第三子以降は三万円とする。

六、基礎年金への国庫負担率を引き上げる(二兆三千億円)
 基礎年金国庫負但率を三分の一から二分の一へ引き上げる。

七、出産費用を公的に保障する  

八、無駄な公共事業を削減し、生活関連公共事業への重点配分を行う。
 公共事業予備費五千億円は削除し、無駄な公共事業を大胆に削減する。環境、福祉、情報、住宅関連公共、介護保検施行に向けた緊急基盤整備など国民生活に直結する公共事業に重点を移す。

九、ダイオキシン・環境ホルモンなど有害化学物質対策費を拡充する。
 発生源対策費を抜本的に拡充するとともに、汚染実態の正確な把握と人体等への影響調査費を一層拡充する。農作物等の被害(風評被害を含む)に対する生産者補償費を確保する。  

十、BMDシステム(弾道ミサイル日米共同防衛技術研究費)、情報収集衛星関連予算は削減する 弾道ミサイル防衛に関する日米共同技術研究費の新規計上は、将来の開発・配備に道を開く可能性がある・情報収集衛星関係費も用途等に疑問があるうえ、これらの経費は後年にわたる新たな財攻負担ともなることから削減する。  

十一、○DA(政府開発援助)の適正化をはかる。