2001年7月23日

ジェノバサミットについて(談話)

社会民主党党首
土井たか子

 ジェノバサミットが終了したが、サミットのあり方について、多くの疑念とその限界を露呈させるものとなった。

 まずもっとも重要な焦点となった京都議定書の批准に関して、アメリカのブッシュ大統領が最後まで抵抗し、ヨーロッパ諸国やカナダとの不一致を確認するだけに終わったことはまことに遺憾なことである。とくに日本は議長国としての責任を果たすべきであるにもかかわらず、小泉首相は明確な主張をなしえないままに終了したことは、地球の未来のことを真剣に考えている人々を失望させることとなった。

 また、首脳宣言のなかで、核不拡散や軍縮についての項目すらなくなってしまったことは、ブッシュ政権の新しい軍拡路線にひきずられつつあることを示している。被爆国の首相としては当然核不拡散や軍縮を盛り込むことに努力すべきであろう。この点小泉首相がいかなる主張をしたかは、つまびらかにされていないが、サミットが軍縮に対して発信しなくてもよいという悪しき前例を作ってしまった。

 さらにサミットの最中に、アメリカ政府当局から生物兵器禁止条約を否定する発言まで飛び出している。

 小泉首相としては、「聖域なき構造改革」を国際的に公約することができたと、その成果を強調している。しかし、その中身がないままスローガンのみが先走ることは、極めて危険である。とくに、経済の悪化を招来することを国際的に容認させた面があることは否めない。市場は無為無策の実像を読み切って、週明けの株価はバブル後最安値を更新した。

 デモ隊の死者1名という悲惨な結果を出して、ジェノバサミットは終了した。

 今回のサミットが「未来への責任」を示しえなかったことは遺憾であり、とりわけ小泉政権がブッシュ政権に追随するばかりで何らイニシアチブを発揮できなかったことを厳しく批判する。