2001年5月11日
社民党幹事長 渕上貞雄
一 本日、熊本地方裁判所は、「ハンセン病国家賠償訴訟」でハンセン病の元患者ら原告の全面勝訴の判決を言い渡した。判決は、国のハンセン病政策が患者の人権を著しく侵害し差別や偏見を助長したとして、らい予防法の違憲性を明確に指摘。早期見直しを怠った国の責任を全面的に認めて18億円余りの賠償を命じた。国は、この判決を重く受け止め、誠実に対応すべきである。
一 判決では、旧厚生省の責任を指摘するとともに、国会議員がらい予防法を廃止しなかった、立法上の不作為についても過失を認めた。社民党は村山内閣において法の廃止を決定し、1996年に廃止されたものの、国会としての対応は遅きに失したと言わざるをえない。国会議員一人ひとりが、筆舌に尽くしがたい苦痛を患者の方々に与え続けたことを真摯に受け止めねばならない。
一 昨日、小泉総理の所信表明演説に対する代表質問で、わが党の土井党首は、ハンセン病問題の全面解決に向けリーダーシップを発揮するよう求めた。しかしながら総理は、訴訟を見守ると答弁し、何らの決意も指導力も示すことはなかった。総理の持論である「改革」とは、やはり、何ら内容のない「幻想」にすぎないと断ぜざるを得ない。
一 1907年から96年まで90年間もの長い間続けられてきた国の強制隔離政策は、社会に偏見と差別を生み出し、元患者の方々の平均年齢は74歳を超え、死してなお故郷に帰れない状況を作り出した。全面解決には一刻の猶予もならず、国は、この判決に対して控訴すべきではない。社民党は政府に対して、人権回復や真相究明、再発防止など最終解決に向けた、取りうるすべての措置を講じ、かつ誠実に対応するよう、厳しく求めていく。
以 上