1999年8月12日

衆議院議長 伊藤宗一郎様

社会民主党党首 土井たか子

比例代表削減法案に関する申し入れ

 自民党と自由党の連立、さらには公明党の協力によって支えられた強権的政治によって、国会における十分な論議がなされないまま、戦争協力の新ガイドライン関連法案、盗聴法をはじめとする組織犯罪対策三法案、国民を番号で管理する住民基本台帳法改正案、日の丸・君が代の法制化、憲法改悪を狙った憲法調査会の設置の強行、国家的リストラ強行法案ともいうべき産業活力再生措置法案と、平和と福祉、国民生活と人権にかかわる悪法がこれでもかという勢いで与党の数の暴力で押し切られてしまっている。

 倫理・選挙特別委員会においても、野党が反対している中比例代表定数五〇削減法案において、一度ならず二度までも強権的議事運営が行われた。

 比例定数削減法案は、行革やリストラを理由にした議員定数削減は、官に対する民の力を弱めることにつながる。また、比例代表制の長所である民意の反映という機能を弱めるとともに、小選挙区比例代表並立制の有する得票率と議席率の乖離、死票の増加、一票の価値の格差の拡大などの欠陥を強化してしまう。とりわけ今回の削減案は、少数党から順に議席を奪っていく案となっており、中小政党にしわ寄せを強いるものであることが明々白々である。

 以上のように単に議員の身分に係る問題を超え、今後の民主主義と国会のあり様に大きく係る重大な改悪を企図する比例定数削減法案の審議強行を社民党は、断じて許さない。そこで、衆議院の議会運営に最大の責任を持つ衆議院議長に対し、下記の通り申し入れる。

 議長におかれては、公正・中立の立場から良識を発揮され、数の力による議会制民主主義のルール無視が行われた暴力的な運営がなされないよう指導すること。

 比例代表定数削減法案は、政党間の駆け引きとして取り扱われるべきでなく、国会全体にかかわることから議長において公正な立場で取り扱われること。

以上