1999/4/7

衆議院防衛指針特別委員会での保坂展人議員の質問

○山崎委員長 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 きょうは、貴重なお話を参考人からありがとうございました。
 まず、西元参考人に伺いたいのですが、先ほどの委員との質疑の中で、九四年の朝鮮半島危機のお話をなさいました。
 米軍の作戦行動準備等もあり、一方でカーターの訪朝というようなこともあって、その九四年の朝鮮半島危機が、今回審議しておりますガイドラインの土台になっていったかどうか。その点について伺います。

○西元参考人 当時におきます私どもの考え方としましては、これは冷戦終結後の明らかな一つの特徴を示している情勢だ、このように認識をいたしました。
 ということは、我が国の安全保障上やはり非常に重要な影響を及ぼすおそれがある、したがってその推移については十分見きわめていかなければならないということで、私ども実行機関といたしましては、少なくとも私の責任において、私が与えられております部隊運用の見地から、さまざまな検討を実施したことは事実でございます。
 その具体的な内容については差し控えさせていただきたいと思いますが、そのときの検討の結果がガイドラインに結びついているのかどうかということにつきましては、ある面ではイエスであり、ある面ではノーだ、こういうことだと思います。

○保坂委員 その、ある面ではイエス、ある面ではノーというところをもう少し伺いたいのですが、二月二十三日の朝日新聞、去年読売新聞にもこの記事、朝鮮有事を想定して、九四年当時、西元参考人が実行部隊の責任者であられたときだと思いますけれども、八空港六港湾の使用要求が出た。九四年の四月であります。そして、九五年の十二月までに、千五百十九項目ですか、細目の、かなり細かい要望が米軍側から出された。これについて、実態はどうだったのか、お話しいただきたいと思います。

○西元参考人 御承知のとおりに、防衛庁、自衛隊と在日米軍あるいは太平洋軍との間では、頻繁に、我が国の安全保障のためのさまざまな情報交換だとか研究というものを、それぞれお許しを得て実施をしております。
 新聞にそのようなことが報道されましたけれども、一つはっきりと申し上げられることは、これは何ら米軍の正式な要請ではないというところでございます。
 私は、先ほどの意見陣述でもちょっと触れましたけれども、実行機関の指揮、幕僚活動にとって最も重要な三つの要件ということを私どもは言われて、昔からいろいろな業務をやってまいりました。それは、先行性、並行牲、完全性ということでございます。そのような意味から、相互に、お互いに平素から情報交換をし合い、相手の考え方を聞き、さまざまな行き来があることは事実でございます。場合によってはそれらをホッチキスしたものがそのような結果になって、あたかも正式要請のように受けとめられていってしまった、こういうことではないか、このように思います。

○保坂委員 それでは次に、岡崎参考人に伺いますが、先ほどのやはり質疑の中で、いわゆる朝鮮半島有事ということが起きた場合に、直接的には韓国であり、また米軍であり、そして一番影響が少ない、損失が少ないのは日本であるというお話があったんですが、これを具体的に考えてみますと、朝鮮半島有事ということがもし起きた場合に後方地域支援の拠点として日本が、在日米軍基地のみならず、民間の港湾、空港その他もろもろ、いわば後方の一大拠点として日本が機能する。例えば日本から米軍機が、戦闘機であるとか爆撃機であるとか、直接相手国に発進していく、あるいは空母が出ていく、あるいはトマホークを積んだ艦船が出ていく、こういうことになると、やはり相手国からは参戦国というふうに認識されるのはやむを得ないのではないか。
 その場合に、日本の国土というのは極めて、戦後五十五年の中で平和憲法をもとに、相手国からの攻撃に備えるという体制は整備されていないわけで、例えば高速道路がある、新幹線がある、原子力発電所があるということで、日本の損害が極めて少ないというふうに言えるのかどうか。この点について例えばテロであるとかさまざまなことはあり得るわけで、その辺の認識について伺いたいと思います。

○岡崎参考人 日本が後方支援をいたしますと、それは、先ほどもお話がありましたけれども、伝統的な国際法からいえばこれは中立義務違反と言えるんでございます。といって、これは戦争が適法だった時代の国際法でございまして、これが自動的に適用されるわけでもないので、北朝鮮が自動的に日本を攻撃する権利が生ずるというものでもないんでございます。ただ、その間はこれは法律のない状況でございますから、北朝鮮から攻撃があり得る、北朝鮮の判断によって攻撃があり得る、その可能性は私は先生がおっしゃるとおりだと思います。
 ただその結果、確かに我々、その場合は損害を受けると思います、電車がとまったり電気がとまったり。これは昔からある議論でございまして、ソ連の脅威のころに、日本なんというのは発電所をつぶされたら電気がとまってしまう、するともうみんな生きていけない、それぐらいなら降伏しろ、そういう話なんですね。これはちょっと余り飛躍している話でございまして、発電所がつぶされたからといって手を上げて、今度はソ連の共産主義の下に入る。これはとても常識では言えない話でございますけれども、そういう議論さえあったわけでございます。
 現在、軽重を考えますと、何が重くて何が軽いか、そういう若干の被害はあり得ます、想定問題としてはあり得ます。ただ、それによって日本という国が滅びることはございません。日本という国が破滅するとすれば、朝鮮で有事が起こった場合に日本の対応が甚だしく悪くて、アメリカの世論から見て、日本という国はこれは同盟国じゃないということになって日米同盟切ってもいい、また、アメリカの議会というのは何かする場合はよく附帯決議をつけまして、最恵国待遇をやめるとかそういうことをいたしますので、そうなりますと、今度は日本は本当に生きていけなくなります。あるいは、同盟を切られますと全く宙に浮いて、戦前のように自分で自分を守らなきやならない、重武装して守らなきゃならない、そうなるとまたどうなるかわからない。そういう形でもって日本の存立がかかっているわけです。
 ですから、具体的な被害よりも、日米信頼関係を失うかどうかの方が日本にとって重大な被害だというふうに認識しております。

○保坂委員 ちょっと時間の関係で先を急ぎます。
 小沢参考人に伺いたいんですが、今日のユーゴの空爆、NATO軍、アメリカを中心にして行われているわけですけれども、人道上、人権擁護という目的を立てつつ、しかし現実には四十万人を超える難民が次々と出てくる。そしてまた空爆の対象も逐次広がっている。そしてまた三人のアメリカ兵が捕虜になるというようなことで、地上軍派遣というようなことも取りざたされている。
 こうなると、やはり戦争という手段をもって目的を完遂するというのは大変難しいということはもう実証されているわけで、このユーゴ情勢と日本の安全保障とも関連があるわけですけれども、今の周辺事態法と言われている法の骨格が、重要なことは政令で定めるというふうになっていたりとか、いわば白紙委任というかそういう性格を持っていると思うんですが、その点について、実際の、はっきりした憲法上の原則というものを持っていないとどういうふうに展開するかわからない事態に対応できないんではないかというあたりの視点から、ちょっと簡潔にお願いしたいと思います。

○小沢参考人 簡潔にということのようですのでまさに憲法との関係で述べさせていただきますと、まさに憲法の基本的な立場は、やはり集団的自衛権、憲法学の多数説は個別的自衛権を武力によって行使する場合も含めてですが、これを否定している、そういう考えです。
 ですから、そういう観点からしてみて、今回のユーゴの事態でも、やはり集団的自衛権の、すなわち軍事同盟条約の産物としてのNATOが国際的な正当性を担保せぬままにああいう形で爆撃を行う、それがゆえに、ユーゴ側にも一半の正当性の根拠といいますか、そういうものが与えられて、状況が長引いていってしまう、そういう状況があると思うんですね。
 ですから、やはり、集団的自衛の同盟条約がいわば国際社会からすれば私的な形で行う、そういう紛争の解決のための紛争といいますか、そういうものは、現実にはかえって火に油を注ぐだけなのではないかという印象を強く持っています。その点でいえば、憲法の原点に立ち返る必要があるんではないかというふうに考えます。

○保坂委員 それでは笹森参考人にお尋ねしますが、確かに民間に対する協力の部分の削除ということをおっしゃいました。やはりこの問題で大きいのは、自治体の問題、極めて大きいと思います。先ほどのお話の中でも、いわゆる神戸方式あるいは橋本知事の、非核証明書を要求すると。港湾法が、自治体がきちっと港湾を管理していくんだ、国ではなくて自治体だという戦後の港湾法の精神があるわけで、現在、地方分権の時代と言われながら、周辺事態法から有事法制へと、有事法制で、いわば分権の骨格をかなり根こそぎ、根元のところから破壊してしまうようなことになるのではないかという心配を我々持っているわけですが、そのあたりの問題意識は連合としていかがお持ちでしようか。

○笹森参考人 問題意識は大いにあります。大いにあるから最初にそういうお話を申し上げて、我々の限界としては、条例でやるのか、今三市と県が三力所でやられている部分についてどうなのかという部分については、理解を示すという範囲が今の段階ではぎりぎりだった。これから先、国家の防衛政策に対して地方自治体がどういう関与をするのか、ここの部分については組織的な論議が非常に割れると思います。ここのところを整埋した上で、最終的に国民的な見地からの対応を出さなきゃいけないんですが、ぎりぎり今の段階でどうなのかなというと、外務省に対する外交上の問題としてという高知県の考え方が比較的連合がとりやすい対応なのかなというふうに感じております。

○保坂委員 それでは、もう一度岡崎参考人にお尋ねいたしますが、やはり先ほどの質疑の中で、沖縄返還当時に、韓国と台湾、いずれかの地域でいわば危機が生じた際には迅速に日米間の協議というお話をおっしゃったと思うんですが、その後田中内閣における日中国交回復があり、いわば中国は一つという見解で平和友好条約も締結されている。アメリカは、一方で、台湾で何かあったときには出る、国内法でこうなっているわけで、そこの整埋はどういうふうに行って、考えられているんでしようか。

○岡崎参考人 一たん、これは両国間の約束でございますので、それは変更しておりません。それが結論でございます。
 ただ、国会の答弁の仕方としては、たしか、韓国の安全は日本の安全にとって緊要であるを、朝鮮半島の安全はと直したと思います。それは国会答弁です。これは日本政府の一方的な答弁でございまして、これは別にアメリカを拘束するわけではございません。日米間の義務を変えるわけでもございません。
 また、それだけの変更、これはそのときの政治的雰囲気を反映して、何か変えた方がいいだろうということで変えたんでございますけれども、ただ、その内容を実質に考えますと、何も変わっておりません。ということは、結論として、国際的義務としては変わっておりません。

○保坂委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

○山崎委員長 これにて保坂君の質疑は終了し、午前中の参考人に対する質疑も終了いたしました。


○山崎委員長 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 川本参考人に伺いたいと思います。
 本日は、パイロットさんの組合の、まさに旅客機を運航している現場からの声として大変貴重な声を聞かせていただいたのですが、なおかつ川本参考人は海上自衛隊に勤務された経験もある。そういうことから、いわば自衛隊あるいは防衛という側面の体験と、もう一つは、旅客機で乗客、乗員の生命を預かる、そういう体験から、このガイドラインの論議の中で、既に資料としてお配りいただいているものの中で、昨年の六月に全日空の飛行機が海兵隊員を嘉手納基地から横田基地まで運んだ。そのときに武器弾薬は一体どうなっていたんだろうか、そしてまた、そういったことが結果として直前にわかるあるいは事後にわかるという場合に機長としてどういうことをお感じになるのか、そのあたり率直にお話しいただきたいと思います。

○川本参考人 まず、民間航空機によります武器弾薬の輸送については、これは当然のことながら、原則的に禁止されております。ただし、一部例外規定がございまして、こういう場合には運んでいいですよという規則を各社持っております。基本的には、これは国際法にのっとって決まっているわけでございますが、その規則に外れるものについては当然機長として搭載を許可しないということになります。これらについては、手続上、危険品搭載手続というのが各社に決められておりまして、それに従って搭載するということでございます。
 昨年の実例につきましては、これはまだ事実関係が余りはっきりしておりませんが、運んだ会社はビジネスとして運んだということで、当初、武器弾薬はないという認識もあったようでございますが、実際には搭載があったということで、この詳細についてはいまだ不明確な部分があると承知しております。以上です。

○保坂委員 続けてお願いしたいのですけれども。
 九四年の朝鮮半島の緊張が高まった析に、アメリカから八空港、六港湾の使用要求があったということで既に幅広く知られておりますけれども、その中に例えば関空だとかあるいは成田だとか、そういった空港も含まれている。そうなると、いわゆるガイドライン関連の論議が具体的に想定しているところの民間における協力要請、その中に明確に空港が入ってくる。その空港の例えば航空管制の問題、これを優先的にというより、航空管制を米軍がコントロールするというようなことになったり、あるいは人員や物資の輸送拠点あるいは軍事要塞化する、軍事基地として民間空港がさま変わりするというようなことがあったときに、それを後方支援活動だと言いつつ、果たして日本の旅客機は安全に運航できるのかどうか、現場で操縦桿を握る立場でお答えいただきたいと思います。

○川本参考人 ちょっと気管支を患っておりまして大変お見苦しいのを見せて申しわけございませんが、安全性についての御質問ということでございますが、私どもは現在でも、軍民の共用空港については反対という立場は、これは明確に持っております。
 日本の中に今何カ所か、代表的には沖縄県の那覇なりそれから小松、千歳等、軍民共用空港については反対。これはもう理由は明らかでございまして、旅客機なりそれからいわゆる軍用機の中でも戦闘機なりは、運用方法それから速度それからもちろん利用目的等が全く違うものでございまして、比喩で言うと、いいか悪いかちょっとわかりませんが、私たちがよく言うのは、公道、いわゆる普通の一般道路をスポーツカーが全速力でぶっ飛んだときにどういう事態になりますかというようなことを申し上げますが、そういう観点も含めて、現時点でも反対させていただいている。
 そういう中で、いわゆる周辺事態法が発動されるような事態になった場合には、当然そういう場合には、いわゆるこの法案の中では管制の優先なり空港の優先使用なり物資、弾薬等の貯蔵なりが民間機のそばで実際に行われるということで、安全性に極めて憂慮する事態になるであろうという推測を持っております。
 それから、委員長、先ほどの佐々木委員の御質問の中でアピールの何名かという御質問がございましたが、私今資料の中で見つけまして、二十七万七千名という数字でございましたので、申しわけございませんがつけ加えさせていただきます。
 以上でございます。

○保坂委員 続けて、川本参考人にお願いをしたいのですが、繰り返し意見陳述の中で、国際民間航空条約、シカゴ条約、そして日本の航空法について触れられていますけれども、端的に、ビジネスとして米海兵隊あるいは附属する武器弾薬を民間機が運んだ場合に、それは民間機というふうに言えるんでしようか。

○川本参考人 先ほども似たような御質問があったかと思うんですが、私どもの立場としてそれは、いわゆる民間航空条約の中で、国の航空機というのは、軍、警察及び税関の航空機という定義がございますが、今御質問がありましたような形態の場合には、相手から国の航空機とみなされる危険が極めて高い、そういうふうに見られるであろうというふうに考えております。

○保坂委員 続けて、川本参考人のお話の中でテロの問題に触れられていましたけれども、もう一つ、イラン航空の飛行機が、エアバス300ですけれども、これはちょうど十一年前の七月に、離陸直後にアメリカのイージス艦によってミサイル攻撃で撃ち落とされた、撃墜されたという、これは最終的にはかなり多額の慰謝料を払って決着したそうでありますけれども。
 実は、そういう空の安全ということの中で、限定的な地域、イランとイラクの戦争の中でかなり民間の艦船も被弾をしたようですけれども、典型的には撃墜ということがあるわけですけれども、こういった空の安全にかかわる事態の中で、戦闘行為が起きてきたときに、一方で、平和と安全を前提にしながら飛んでいる民間機がこういったことに巻き込まれるということ、あるいは、後方支援とはいっても、日本がアメリカと共同で歩調をとったときに、日の丸をつけている日本の旅客機がテロあるいはその他の攻撃の対象に意図的になるという、イランの場合は間違って撃たれたわけですけれども、そのあたりについて伺いたいと思います。

○川本参考人 まず、イラン航空機の例でございますが、これは非常に覚えやすい数字でございまして、一九八七年の七月三日、いわゆるフォース・オブ・ジュライの一日前でございますね、独立記念日の。当時、イラン・イラク戦争が相当長年にわたって戦われておりまして、いわゆるホルムズ海峡近辺の商船が相当数被害を受けておりました。それの護衛のために米国が艦隊を出動させているわけですが、いわゆる民間機撃墜事件発生の伏線として、一年前に、イラクのミラージュ攻撃機がアメリカの駆逐艦スタークというのを間違って攻撃してしまったというか、間違って発射したのが当たってしまって、三十七名の米国の海軍軍人が死亡しております。
 したがって、そこでのいわゆる交戦規定が改定になりまして、新しい交戦規定があったわけですが、そういう伏線がある中で、一九八七の七月三日、イランの空港から飛び上がった民間旅客機、イランのA300ですが、これが先ほど申しました軍民共用空港の飛行場でございまして、当然アメリカの軍艦は常にウォッチしておるわけですが、どういう手順か知りませんが、それがF14トムキャットと認定されてしまいました。運が悪いことには、その飛行機はほとんど真っすぐ巡洋艦ビンセンスというものに向けて、飛行を続けてきたわけですが、これもまたどういう間違いか、上昇中の飛行機を、コンバット・インフォメーション・センター、CICでございますね、ここで高速降下で本艦に向かっていると判断して、艦長は発射してしまった。ミサイル二基の発射を命じて撃墜してしまって、二百九十名の人命が失われた。
 事後の調査で、米海軍は、敵味方識別の手順の誤りは認めましたが全体的にはやむを得なかったという態度でしたが、同僚の艦長から即反論がありまして、処置が間違っていたということで、結果的にアメリカは、六千万ドルを超える慰謝料を残された遺族の方に払ったということでございます。
 第二点目でございますが、そういう紛争事態が発生した場合のテロの脅威というのは、これは冒頭でも述べさせていただきましたとおり、日本という国に限ってだけ言っても、全世界に散らばっている航空機一つ一つのセキュリテイーの問題を完壁にやることは極めて難しい。
 先ほど二例ほど御紹介させていただきましたが、この二例とも共通しているのは、爆弾を積むのに、直接は積んでいないんですね。事前に、ねらう前にどこかの飛行場で、いわゆる警備の厳しい空港で荷物を積み込みまして、一たん積み込んで、セキュリティーが、要するに安全ですよということになってしまえば、経由地ではそのまま積みかえられるという今の手順になっております。
 したがって、そのまま爆弾を積んでしまったということで、万が一日本の民間旅客機がそういうふうなターゲットになった場合には、これはほとんど防ぐことは不可能ではないか。ですから、私たちとしましては、ぜひそういう事態に立ち至らないように、政治の場で御努力をお願いしたいというふうに思います。
 以上でございます。

○保坂委員 それでは小川参考人に、時間がないんですが、一言お願いいたしたいと思います。
 今、川本参考人から、パイロットという現場の声。幾つか私ども受けとめたわけですけれども、今回の法案審議の中で、例えば自治体に協力を求める、民間に協力を求める、あと、詳しくはどうかというのは全然わからないわけですね。そういう白紙委任というか、成立してからよろしくやりますという方法では、国民の理解あるいは本来の趣旨もねじ曲がったものになるんではないかという御指摘があったと思うんですが、その点について一言お願いしたいと思います。

○小川参考人 御質問、ありがとうございます。
 私は、ガイドライン関連法案、これは審議をどんどん急いでやっていくべきであろうという立場でお話をしてまいりましたし、今の御質問も受けとめたわけでございますが、同時に、御指摘のような点というのは、やはり国民に対して問いかけなければいけない問題でございます。それが、やはり国民の無知をいいことにと言ったら言い過ぎかもしれませんが、そのまま素通りされているいるというのは、非常に残念でございます。
 ただ、例えば民間空港の使用ということも、周辺事態ということになった場合、民間航空路は何%ぐらいまで削減をされるのか。これは、通常、平時のように飛んでいるわけじゃないんですよ。その中での安全性の問題はどうなるのか。その辺の議論はやはりなきゃいけない。ところが、これにさわると完全に危険だということになりかねないから、さわらずに来ているという部分も実は政府の側に感じられるわけでございます。
 あるいは、ICAO条約に関して、民間航空に関する条約で、例えばロシアのアエロフロートが軍事使用される場合はどういう扱いになっているのか。あるいは、アメリカの海兵隊が戦地に人員を先に派遣するために、チャーター便で、CRAFという制度を持っている。これは大変迅速に展開できるわけです。湾岸危機のときにも大変有効に働いた。このCRAFの場合は、ICA○条約はどのように適用されるのか。あるいは、民間機と本当にみなすのか、みなさないのか。恐らく敵対している側はみなさないでしょう。ただ、みなされないということを前提に、恐らくロシアのアエロフロートにしても、あるいはアメリカ海兵隊のCRAFでチヤーターされた民間旅客機にしても、護衛戦闘機や何かは全部ついていくと思うんですね。あるいは、飛ぶ航路については、危険なところについては、その下の海面にイージス艦などを配備する場合もある。そういったことが恐らくあり得るであろうという議論が全然ないわけですよ。
 だから、とにかく危険な印象を国民に与えたら法律が通らないだろうといったようなところがどうも感じられてならない。とにかく周辺事態がやはり適用されるような事態にあっては、民間空港の大部分があるいは閉鎖かもしれない。民間航空路なんてほとんど機能していないかもしれない。その中でどれぐらい危険なのか、危険でないのか。そういった議論までしていただきたいなという感じがしております。
 どうも御質問、ありがとうごぎいました。

○保坂委員 時間の関係で、岡本参考人、伊豆見参考人に質問できずに申しわけありませんでした。
 これで終わります。