99年7月15日
社会民主党

11年度補正予算について

1.5千億円程度では国民的要請に応えられない
 今回の「緊急雇用対策」の拠って立つところが、雇用不安の克服こそが景気回復の何よりの良薬になりうるとの考えに基づくならば、5千億円規模では対策費としては極めて不十分であり、反対せざるをえない。重要度からしても壮大なる無駄遺いに終わりかねず、かつ財源手当もないまま強行された4兆円もの高額所得者優遇減税との見合いからも、国民的要請に応えているとは到底いえないのである。社民党は、雇用対策関連費としては最低でも2兆円、同じく喫緊の課題でもある少子化対策については(1)「新・エンゼルプラン」を策定・実施(2)全額を国庫負担とする「新・児童手当」の創設一一など3兆円、合わせて5兆円規模の予算編成が求められていたと考える。

2.雇用創出に逆行せざるをえない現状での事業再構築支援
 さらに軽視できないのが、一方で、リストラ誘因となる「側面を持たざるをえない」事業再構築関連の支援策等にも政府が取り組んでいることである。例えば、設備廃棄を景気回復の呼び水にという考え方自体、楽観的にすぎる。工場撤退などの設備廃棄が進めば、地域経済に与える影響、なかんずく雇用問題は深刻な打撃を受けざるをえない。常時であれば、このような副作用は低く抑えられるかもしれない。しかし、雇用失業情勢の底割れ懸念すら払拭できない現状においては、前向きな相乗効果が望める政策とはなりえないのである。したがって、リストラ誘因となる「産業活力再生特別措置法案」の提出を控えた本補正予算案であるからこそ、’質量とも’万全なものが求められていた。にもかかわらず、力強さに欠ける規模となったことは承服しがたい。

3.ワークシェアリング等を通じた雇用創出を図るべき
遠回りなようでも「失業を生まない、つくらない」ために不可欠の要素となるのが、「労働時間の短縮による『ワークシェアリング効果』を通じた雇用創出を図ること」だと、社民党は強く訴えてきた。しかし、今回の政府の「緊急雇用対策」が、この具体化への歩みを進めるものとなっていないことは易きに流れた手法と批判せざるをえない。社民党は「ワークシェアリング」の着実な進展を図るため、(1)育児・介護休業を取りやすくする環境整備の一環として、育児・介護休業給付に係る所得保障水準の引上げの実現(25%→60%)(2)法的拘束力を有する時間外労働等の規制一一などに引き続き取り組む。