2001年10月29日

報復戦争参加の道から引き返せ(声明)

社会民主党

 参議院本会議で、ただいま「テロ対策特別措置法案」「自衛隊法の一部改正案」「海上保安庁法の一部改正案」の三案が、審議途中にもかかわらず、自民・公明・保守等の多数で強引に採決をされた。

「テロ対策」の一語をもって、自衛隊を戦闘地域に派遣することや、「防衛機密保持」を民間人に強要する等、戦後史を変えるだけではなく国の根幹にかかわるような重大な事柄に十分な審議は行われなかった。社会民主党は、衆参両院とも三法案に反対を貫いたが、政府の議会軽視と与党の横暴に強く抗議するものである。

 衆議院がわずか5日間の審議なら、参議院もまた4日間という驚くべき短期間の審議しか行われていない。憲法の根幹問題を「神学論争」として逃げ、ひたすら独善的「常識」を超法規的判断の目安にしたような小泉総理以下、閣僚の答弁は国会と政治のとめどない堕落をもたらした。

 空爆は連日、アフガニスタンの民間人を殺傷し続けている。テロ事件とは無関係の人々が、なにゆえ殺されなければならないのか。その犠牲が大きくなるほどに、私たちが恐れている「報復の連鎖」の悲劇が現実のものとなる。世界中に反米デモが広がり、パキスタンで、フィリピンでキリスト教徒が殺される事件が起きている。パレスチナの軍事緊張も高まり、世界は破局の一歩手前に来ているという危機感と認識を政府は持たないのか。

 先週、わが党はパキスタンの難民キャンプへ調査団を派遣した。難民キャンプには今回の米英の戦争への憎悪が渦巻き、そこへ武装した自衛隊が物資を届けるなど絵空事であることが判明した。さらに、3週間に及ぶ空爆でアフガニスタンの人々への水、食料、医薬品などの供給が途絶え、NGOが懸命の努力で物資を送り続けている。平和憲法を持つ日本が貢献できるのは、迫り来る冬を前にした何百万人という飢餓線上の人々に「非軍事的手段」で徹底的な支援をすることである。

 社会民主党は、米英に勇気を持って軍事行動を中止することを要請してきた。報復戦争の終結の見通しもない今日、自衛隊派遣を行うことで日本国民、ならびに世界の人々が得るものは何もない。世界が渇望するのは、日本が平和国家として戦争終結とテロ根絶の道筋を描くことであり、社会民主党はそのために全力を尽くすことを表明するものである。
 社民党は、全国において、これまで以上に、広範な人々とともに、自衛隊派遣反対の声を強めると同時に、現地のNGOを通しての「アフガニスタン被災民。難民支援」の募金活動に取り組む決意である。