1999年11月22日

米軍普天間基地の名護市移設について(談話)

社会民主党    
幹事長 渕上 貞雄

1,本日稲嶺沖縄県知事は、副知事を派遣して、名護市長に対し、普天間基地の代替施設の移設先を名護市が引き受けるよう要請した。
 社民党はかねてから、右のポケットから左のポケットに移すような県内移設には反対であることを表明し、沖縄の基地を整理縮小することを主張してきたが、このことをあらためて強調しておきたい。

2,県知事の要請が、来年夏の沖縄サミットを控えて、年内決着を推し進めてきた政府のシナリオにそったものであることは明らかである。まだ地元の調整も、県民への納得のゆく説明も行われていない。この性急な決定によって、沖縄県内に新たな混乱と対立が持ちこまれることを危惧する。

3,沖縄県知事は、新しい基地が軍民共用であり、使用期限を15年の契約とすることを表明している。しかしアメリカの国防総省は、代替基地について「運用年数は最低でも40年、耐久年数は200年として設計されるべきだ」とする報告書をまとめており、沖縄県知事の期待通りになるのか、先行きは極めて不透明である。しかも基地そのものも「海上」なのか「陸上」なのかも明らかになっていない。海上基地建設なら大規模な環境破壊にも直結する。

4,政府は、県知事の要請に伴い、移設先の振興策の具体化を急ぐ方針のようだが、本来沖縄の振興策は基地問題とは切り離して行われるべきである。代替基地を受け入れたら実施する、受け入れなかったら実施しないというレベルの次元で扱う筋のものではない。また、県知事も、振興策と引き替えに基地を誘致するようなことはすべきではない。これは沖縄県民を愚弄するに等しい行為であり、このような姿勢は断じて容認できない。

5,県知事の要請は、沖縄県民の多数の意向に沿ったものではなく、沖縄の平和、ひいてはアジアの安定と平和を実現していく道とも相反している。岸本市長には名護市の住民投票の結果を尊重し、県知事の要請を受け入れないよう要望したい。