1999/3/31

衆院防衛指針特別委員会での伊藤茂議員の質問

○山崎委員長 次に、伊藤茂君。

○伊藤(茂)委員 社会民主党の伊藤でございます。
 きょうも大変長時間の審議でございますが、いただきました時間、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 先般来議論を伺っておりまして、一つだけ実は思うことがございます。前、このガイドラインに関連してなんですが、尊敬する外交評論家である船橋洋一さんが「同盟漂流」という分厚い本を書かれまして、読ませていただきました。それを要約して、新書版で「同盟を考える」という本を出されまして、参考になる本でございました。
 友人として、いいことを書いているなと思っていましたが、その前書きにこういうことが書いてございました。冷戦後ほぼ十年を経ようとしているのに日本の安保論議の特質はそれほど変わらないように見える。かつてのようなイデオロギー的な議論が姿を消したのはいいが、まあ全部姿を消したかどうかはあれですが、今度は骨太の安保論議そのものが国会論議から姿を消してしまった。冷戦後日本は今までにない大きな試練の時期に立っているという言葉がございます。
 今、ポスト冷戦の時代に私どもが必要なのは、船橋さんの言葉で言えば、骨太の、次の時代の安全保障をどう考えるのか。ポスト冷戦の時代ですから、昔のように、安保、自衛隊といえば自社相交わらざる対決の構図みたいな時代を越えて、お互いに真剣に議論をして、次の時代を共同で開発するというのが今の時代の政治家に求められている気持ちではないだろうか。それに対する立派な回答までまいりませんが、そんな気持ちを持ちながら努力をしていきたい、また議論をしていきたいというふうに思っております。
 幾つか、限られた時間ですから御質問させていただきたいと思いますが、その前に、山崎委員長にお願いがございます。
 というのは、この間、我が党の土井党首が質問の最後で、十二条、政令の問題を指摘されまして、私も、こういう非常に複雑な、問題の多いといいますか、またこれから知恵を絞らなければならない大変な法律でございますから、普通ですと、消費税法とか大きな法案のときには、私ども野党第一党のときには、政令の骨格を出して、それらも含めて責任ある議論をしようではないかということでお願いを政府側にしてきたというのが習慣でござました。
 これは、こういう内容ですから、どの程度まで政府が用意をされているのか、どこまでできるのか、骨格がどうなのか、私も定かにはわかりません。まあしかし、こういうものの執行がどうなるのか、幅広い議論を聞きましても非常に大事なことだろうというふうに思うわけでございまして、これから総括質問、一般質問に入っていく、それで、ほかの野党の先生方ともそんな相談をちょっと始めさせていただいておるのですが、ぜひ政令委任、十二条に書いてあるその中身の骨格はどうなるのか、政府側とも詰めまして、責任ある内容の議論をすることが必要ではないだろうか。
 ぜひ、一般質問の段階から先のことだろうと思いますが、理事会で御相談をさせていただくようにお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

○山崎委員長 釈迦に説法でございますが、法律あっての政令でございますし、大法案でございまして、しかも修正含みだとされております。そのような状況下におきまして、政令の準備がどこまでできますことか大変心配いたしますが、いずれにいたしましても、せっかくの御提案でございますので、本件についての取り扱いを理事会で協議させていただきます。

○伊藤(茂)委員 北朝鮮の不審な船という問題につきまして、二つだけお伺いをいたします。
 この事件に対してどう今後対応するのか、さまざま議論がございます。報道で伺っておりましても、包括的な領域警備の法律が必要ではないかとか、あるいは海上保安庁の能力をレベルアップすべきではないかとか、それから海上保安庁と自衛隊の緊密な連携が必要であるとか、さまざまの議論がなされております。
 私はこう思うのですね。これから先考えますと、やはり当然ですが、警察行動の分野が一つあると思います。海難救助は当然優先、当然のことなのですが、保安庁の大事な仕事で一生懸命やられているわけですが、密輸とか密入国とかなんとか警察的な部面、それから、軍事的な部面というものとあって、これが混在することはやはりまずいので、きちんとそこは建前をつくって、そしてまたもっと安心できるようにどうしたらいいのかということではないだろうか。私の考えでは、今の段階ですぐ自衛隊法を改正して云々ということよりは、海上保安庁の能力をレベルアップしていただく、それから、海上自衛隊と海上保安庁などさまざまの連携マニュアルとか、勉強していただくというようなことが当面まず必要なんじゃないだろうかというふうに思いますが、これはいかがでしょうか。
 これは外務、防衛、運輸。では一言ずつお二方、運輸大臣と防衛庁長官。

○野呂田国務大臣 治安出動や海上警備行動等は自衛隊が実施するものでございますけれども、いずれもこれは警察的行動でありまして、自衛権の発動として行う、例えば武力行使の行われる防衛出動のようなものとは厳しく峻別されているわけであります。
 我が国の沿岸の警備につきましては、第一義的には海上保安庁の任務でありまして、自衛隊は、海上保安庁では対処することが不可能もしくは著しく困難と認められる事態が発生した場合に海上警備行動により対処するという基本的な枠組みが定められておりますので、私どもとしては、この枠組みの中において行動したい。今回のような事態に対してどう対応するか、今、私たちも鋭意検討を重ねているところであります。
 なお、政府としては、橋本内閣以来、こういった危機的な状況にどう対応するかという研究を進めているところでありまして、そういう研究の成果を待って我々としても検討してみたい、こう思っております。

○川崎国務大臣 防衛庁長官からも御答弁がありましたけれども、まず現行法の枠でどこまでできるか、お互いに連携をとりながら進めなければならないだろう、こう思っております。
 既に伊藤委員御承知のとおり、海難救助の場合も、私どもと自衛隊の連絡、こういうことでいろいろな形でやらせていただいているところであります。
 今回の事案を考えてみますと、まず、例えば漁船とか商船、正規の船が不正行為を働いた場合、これはまさに警察行動そのものでありますから、一○○%我々の領域だろうと思っております。
 一方、我々の能力を考えましたときに、例えば潜水艦が無害通航で、御承知のとおり旗を上げて領海へ入ってくる、これは無害通航で認められております。しかしながら、潜って入ってきた場合、この場合は、我々はまず探知する能力がありません。それから、外へ出ていけ、退去命令、これを相手側に伝える方法も我々は持っておりません。したがって、潜水艦が潜って入ってきた場合、基本的には自衛隊の能力に頼らざるを得ないだろう。そういうときは内閣の判断を求めることになるだろう。
 今回の不審船は、ちょうど間の事項であろうと。見つけられたのは自衛隊、そして私どもが警察活動として入った、我々の能力を超えたということで自衛隊が内閣の判断のもとで海上警備ということで出ていった。こういうことで、やはり、いろいろの場合を想定しながらお互いが連携をとりながらやっていくということが非常に大事だろうと思っております。

○伊藤(茂)委員 こういう事態のもとでの対朝鮮半島政策につきまして、総理にお伺いいたします。
 昨年八月以来非常に難しい問題が相次いだわけでございますけれども、このしばらくの間、米朝関係のさまざまの努力、ミサイル協議はこれから大変な苦労だと思いますが、韓国金大中大統領のさまざまな努力、それから先般の小渕総理がソウルを訪問されました首脳会談、その中身も私ども前向きに肯定的に評価をしているわけでございます。
 ただ、こういう大きな流れ、一つの戦略的な判断と申しましょうか、その前にさまざまの出来事が起きる。今回のことにつきましても、何でこんなことが日本海の我が領域内で起こるのか、こんな行動がどうして起きるのか、まさに私もこんなことは理解できないですね。問題でございます。
 ただやはり、最近のことにつきましても、例えば金大中大統領が、潜水艇事件とか何かあって、これらについてどうするのか、問題が非常に大きい、しかし朝鮮半島全体の、自分の大統領としての信念あるいは戦略というものを持って政策を進められている。私も大変敬意を表しているわけであります。
 やはりそういうことが非常に大事なんじゃないかというふうに思うわけでございまして、官房長官の会見とか、それから総理の今までの答弁を伺っておりますけれども、改めてその気持ちを総理からお伺いしたいというふうに思いますし、こういう事態ですから、やはり日本の国民の大方の意見などを代表して、政治家、政党が与野党問わずいろいろな努力をするということも適切なことではないだろうかというふうに私は思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。

○小渕内閣総理大臣 改めて今般の二隻の不審船について種々の情報を総合的に勘案した結果、我が国政府として、北朝鮮当局の工作船であると判断するに至り、北朝鮮側に抗議を行うよう北京及びニューヨークの我が方在外公館に指示したところでございます。
 一方、政府といたしましては、北朝鮮に対して対話と抑止の双方により対応していくとの方針であり、安全保障の備えを確固たるものにすることと並行いたしまして、対話と交渉により北朝鮮との間に存在する諸問題を一つずつ解決していく考えであるとの基本的考え方に変わりはないわけでございます。
 今、伊藤先生御指摘のように、金大中大統領と私との共同宣言におきましても、今後、北朝鮮に対しましても、この申し上げましたような抑止と対話の方針について徹底をしていくということでございます。
 ただ、金大中大統領も申されているように、単なる宥和政策ではない、きちんとした自国の安全保障に対する確固たる体制は持ちつつも北に対していわゆる太陽政策を推進していくということにつきましては、私もそれに賛意を表しておるところでございます。
 こういう時点に立って、正直申し上げれば大変残念なことが起こってきておるわけでございまして、やはりこうした政府の政策を遂行する上にも我が国国民においても北朝鮮にたいするこうした不信感というものが醸成されないような行為につきましても、ぜひそうした対応をしていただくこと、前段申し上げました事柄につきましても誠意ある回答をいただけるというようなことになりますと、政府としての対話の政策を推し進めるに国民的理解が深まるのではないかということで、我が国としてのメッセージにつきましてもぜひこれを建設的に受けとめていただきたい、このように念願しておる次第でございます。

○伊藤(茂)委員 実は、本三法案に関連をいたしまして、安保再定義という角度から議論をしたいと思っておりましたが、小さい政党の悲しさで本当に時間がございません。一点だけ、集中して議論をさせていただきたいというふうに思います。
 それは、事前協議と極東の範囲。この二つは、六○年安保改定、あのときの特別委員会の議論の概要なども改めて読み返してまいりましたが、根幹はその二つの重要なテーマだったというふうに思います。その後、これについての政府の見解が公式に変わったというふうには聞いてはおりません。しかし、現実どうなっているのかということを思うわけであります。
 まず、外務大臣にお伺いしたいのですが、前のガイドラインには、前提条件ということで三つ掲げてございました。事前協議、憲法、非核三原則ですね。今回は、事前協議という言葉が消えております。外務委員会で伺いましたら、いや、それは、その意味合いは中身に含まれてずっと継続しておりますということでございましたが、三つの文字があって、一番最初に事前協議というものがあったが、消えたと。消えたということは、そこだけが何で消えたのかという意味を普通持つだろうと思います。何か、事前協議自体を非常にレベルダウンするみたいなことになっているんじゃないかというふうな懸念を持つわけであります。これが一つ。何で事前協議が消えたのですか。
 もう一つは、極東の範囲。いわゆる安保条約六条の米軍の行動の範囲にかかわるわけでございまして、私から申し上げるまでもなく、繰り返されている政府統一見解、変わっていないわけであります。日米共同宣言など、これは、与党当時にも三党で、ガイドライン協議も十何回、山崎さんも含めてやりまして、結局結論を得ずという残念なことでございましたが、大変に真剣な議論は随分いたしました。その中の一つでもあったわけであります。それは変わったんでしょうか、変わらないんでしょうか。広がったんでしょうか、広がらないんでしょうか。
 素朴であり、かつ非常に重要な問題だというふうに私は思いますが、その二点、どうお考えになりますか。

○東郷政府委員 第一点についてお答えを申し上げます。
 旧ガイドライン、ここは、「前提条件」の第一点といたしまして「事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」という記載がございます。
 他方におきまして、新ガイドラインの冒頭の「基本的な前提及び考え方」といたしまして、累次御説明しておりますように、三点提起しておりまして、その第一点が「安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。」という点でございます。
 ちなみに、第二点が「日本の憲法上の制約の範囲内」、第三点が「国際法」ということでございまして、この二つを比較いたしますと、旧ガイドラインの方で一つの文章で書いてあることを新ガイドラインの方で三つの点に分けまして、より詳細に記載したというふうに理解しております。
 その第一点の中に「安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務」というふうに書いたことによりまして、むしろ安保条約というものを明示的にきちんと書いて、その「関連取極」という中に事前協議の岸・ハーター交換公文も記載したということで、実質は変わっていないというふうに考えております。

○伊藤(茂)委員 実質は変わっていないと言いましたが、私は、重大な変化が起きているということを申し上げたい。理屈の論争ではなくて、私の最近勉強したことで幾つか申し上げたいと思います。幾つも例がございますけれども、古い例、それからしばらく前の例、最近の例と、絞って幾つか申し上げてみたい。
 ちょっと古くて新しい話題なのですが、例えば六五年十二月五日に起きた事件で、八○年代に当国会でも随分議論になったことなのですが、タイコンデロガ事件がございました。沖縄沖で水爆とパイロットと飛行機が航空母艦からおっこちて、その二日後にその航空母艦が横須賀に入港したという事件でございまして、非常にセンセーショナルに報道された問題でございます。
 八○年代にさまざまな議論があり、外務省あるいは条約局長などの外務委員会における答弁なども読んでみましたが、その当時は、まだ情報公開法で出される航海日誌などが出されていない段階。最近、その航海日誌とかそれから司令官報告とかいうものが、やはり情報公開の国ですね、私もうちに帰ると、ペンタゴンとかにインターネットでつながるようになっていますから、いろいろなものが入って、さすがと思いますけれども、はっきり出てまいりました。
 それを読みますと、私はびっくりいたしました。水爆とパイロットをおっことして、二日後に横須賀の十二号バースに着いた。その中身もさまさまですね。司令官報告六六年度分、それから、おっこちた飛行機が第五十六攻撃飛行中隊とあるのですが、それの報告書などを読みますと、つまり、いつでも核戦争に対応できる能力を持っている。これは、ブッシュ大統領が核兵器を船に載っけるのですね。潜水艦以外はやめたという前のことですから、能力を持っている。核兵器というかかわりの文章は、すべて複数になっております。Sがついている。
 そして、横須賀寄港、それからさらにベトナムで北爆、当時ですからヤンキーステーションに帰るのですが、その間にどこにも寄り道をしておりません。航海日誌から地図に落として、全部私どもやってみましたが、どこにも寄り道はしていないですね。横須賀に来るまで寄り道はしていない。行くときも真っすぐ行っている。それから、ほかの船に荷物を積みかえたということも記録は全然ございません。
 と申しますと、一体何だろうか、非核三原則、事前協議。事前協議に該当する三つの、岸・ハーター交換公文の取り決めというものは何だろうかというふうに思います。これが、重大な問題として私も非常に痛感しましたが、一つであります。
 二つ目には、外務大臣には実は再三申し上げてきたことなのですが、昨年一月に、インディペンデンスが湾岸に出撃をするということで、NLP訓練がございまして、これは事前通告なしで、コーエンさんも陳謝をされたと総理からも伺っております。
 それはそれなのですが、実はその後、二十二日に横須賀から四隻でペルシャ湾に出動をいたしました。その前の日にコーエン国防長官が横須賀基地をヘリで訪れまして、インディペンデンスの甲板の上で兵士を激励いたしました。その演説の内容、これも私ども、米軍のアメリカンフォーシズ・インフォメーションサービスから取り寄せまして、向こうのでありますが、相当激しい演説をいたしまして、重要な任務でこれから中東に出動する、アメリカの力を見せつけなくてはならぬ、諸君、しっかりやれというふうなものですね。
 母港であり、それから第七艦隊の旗艦もある、その場所で、現物の航空母艦の上で最高司令官が言うのですから、直接の出動に何らの疑いもありません。いや、私は、政策的なことを言っているのじゃない、ルールを言っているんです。ルールはしっかり守ってもらわなくてはならぬと。
 そういたしますと、今条約局長も言った、事前協議はさらに守りますだの何だのと言っているのは、何をやっているんだという気がするわけでありまして、きちんとした日米間の話があって、お互いにやって、やれることはやれる、やれないことはやらないというのが同盟というものだろうと私は思います。
 最近のことでもう一つ申します。
 海兵隊を乗っけて、上陸とか作戦に出るための船が、実は佐世保にベローウッドとかジャーマンタウンとか三隻ございます。御承知のとおりであります。最近、その三隻が沖縄のホワイトビーチに寄港をいたしまして、海兵隊員二千人を乗っけまして中東に参りました。
 そしてその後、イラク攻撃に関連をいたしまして作戦行動がございまして、四ヶ月ぶりに、つい最近、三月の十四日にホワイトビーチに帰還をいたしました。報道をいろいろ見てみますと、フルトンさんという大佐の司令官なのですが、湾岸での作戦行動にしっかりやったと、即応体制の重要性を強調したと、必要な弾薬などはほとんど沖縄から供給をされたと。直接出動だろうと思うのですね。
 こういうふうなことが、いろいろと報道その他を読んでおりますと、例えば三沢の飛行場からF16が直接飛んでいったであろうとか、確かめるあれはありませんが、いろいろなことが実は出てくるというわけでございます。
 安保の根幹として、六○年安保のときでも、私どもの先輩が議論したのは、事前協議と極東の範囲という問題でございました。言葉では、それは変わりませんとか、さまざまな御説明がございます。しかし、事実は重大な変化が起きている。この事実を一体どう考えるのか。
 十分な時間がございませんので私は、外務大臣に、この前の、原子力空母が横須賀に来るかという議論のときにも突然申しまして、空中戦をやって、その後落ちついた議論をいたしまして、私は満足はしておりませんが、一定の詰めた話まで国会でもさせていただきました。やはり、こういう議論をきちんとやっていくということが必要なのではないだろうかというふうに思いますが、これらの事態について、外務大臣ですか防衛庁長官ですか、どうお考えになりますか。

○高村国務大臣 前にもお答え申し上げましたが日来安保条約第六条の実施に関する岸・ハーター交換公文に基づく事前協議の主題となる「日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」に言う「戦闘作戦行動」とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すわけであります。
 御指摘の、空母の中東湾岸地域への派遣のように、米軍の運用上の都合により米軍艦船及び部隊を我が国から他の地域に移動させることは、事前協議の対象とするものではありませんし、このような解釈は従来より一貫しているわけでございます。
 コーエン国防長官がインディペンデンス艦上において乗組員に対していろいろ激励したというような発言、これは承知しておりますが、この発言は、国防長官として乗組員に対し一般的な激励を行ったものと承知しており、かかる発言をもって、当時のインディベンデンスの中東湾岸地域への派遣が事前協議の主題となるものではない、こういう見解は一致しているわけであります。
 タイコンデロガ号の件については、非常に古い話ですので、政府委員に答弁させます。

○竹内政府委員 先生御指摘のタイコンデロガ号報道によりまして一九八○年代になって明らかにされたのでございますが、事故は一九六五年のことでございました。当時、日本政府におきましても米側に対しましていろいろ照会をいたしたことはございますし、国会でも御説明を申し上げたところでございます。
 米国の方からは、最終的には二つのことを言ってまいりまして、エネルギー省の報告書も出ましたけれども、我が方の照会に対しましては、一つは、米国防省の対外説明といたしまして、米国は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めのもとでの義務を誠実に遵守してきており、今後も引き続き遵守するということが述べられておりました。それから、さらに米国政府よりは、この件に関しましては、従来日本側にいろいろ情報を提供してきたけれども、これ以上の議論は軍の運用上の政策を危うくするものであるというような最終的な回答を寄せてきたというところでございます。
 いずれにしましても、先ほど先生、ブッシュ・イニシアチブにちょっと触れられましたけれども我々の岸・ハーター交換公文に関します立場というのは、従来どおり変更はございません。

○伊藤(茂)委員 時間ですから、残念ながら問題提起をしただけで詰める時間がございません。
 ただ、申し上げておきますが、外務大臣、国防長官として一般的なスピーチをしたんだろうとおっしゃいますが、横文字のものでも国内の報道でも、国防長官がとにかく目的地、出動を明らかにしたというのが見出しで報道をされております。認識が大分違うと思います。
 それから、外務省に申し上げましたが、このタイコンデロガ事件、いろいろなものを調べてみました。航海日誌とかアメリカ軍が公開した資料なども取り寄せて調べたらどうだという国会での質問に対して、当時の条約局長はやれませんと答弁しているのです。そんなことがありますか。物事はやはりフェアに明らかにして、真相を詰めて、そしてこの現状をどうするのかとやるのが私は行政の責任であり政治の責任だと思います。
 時間がございませんから終わりますが、私の考えは、事前協議は完全に空洞化している、在日米軍は湾岸までこれで自由にに出撃しているのは事実ではないか、やはり安保条約は変質しつつある、この現状をどう考えるのかという議論をしなくちゃならぬ。
 したがいまして、何かマスコミを見ますと、安保条約の範囲の中であるとかいう修正をしようなんという、どこか知りませんが記事が出ていましたが、そんな言葉を挟んだってナンセンスではないかという気が私はするわけでありまして、今申し上げたことは、問題提起になりましたので、私どもも事実に基づいたきちんとした勉強と整理をして、いずれ政府に問いたいと思います。そういうことをきちんとどうするのかということが我々議員の仕事ではないだろうかというふうに思います。
 以上で、時間ですから、質問をを終わります。

○山崎委員長 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。