○山崎委員長 次に、伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 まず、日米地位協定のことで質問をさせていただきたいと思います。
私は、日米地位協定の現状、それと新ガイドライン、重ねてみますと、非常に懸念を感ずるわけであります。
まず第一に伺いたいんですが、よく言われますが、日米地位協定とNATO軍地位協定、ボン補足協定との比較論というのがよくあるわけであります。比較をいたしますと、非常に大きな格差があります。なぜ日本の場合とそれからドイツの場合と違うのだろうかという疑問があるわけですが、その点をどう認識しておりますか。
○高村国務大臣 日米地位協定は、日米安保条約の目的達成のため我が国に駐留する米軍の円滑な活動を確保するため、米軍の駐留に関するさまざまな側面について詳細に規定したものでございます。
受け入れ国の同意により駐留する外国軍隊の構成員に対し一定の特別な法的地位を認めることは、一般国際上の確立した原則となっておりまして、このような地位協定を締結した例は、米国とNATO諸国、韓国、豪州等の間にも見られますが、その規定ぶりは、一般的に言って、日米地位協定と相当程度共通したものとなっております。日米地位協定とNATO地位協定やボン協定との比較については、おのおのの協定の実際の運用のあり方等も検討する必要があるので一概に論ずることは困難でありますが、日米地位協定がこれらに比べて日本側にとり不利であるとは考えておりません。
これらの事情を勘案すれば、現時点で日米地位協定の改定が必要であるとは考えていないところでございます。
○伊藤(茂)委員 外務大臣、それは違うと思います。
時間がございませんから、二、三の例だけ申し上げますが、例えばボン補足協定の関連で見ますと、例えば、軍事演習に関する規定がございます。地位協定には具体的な明文規定がございません。ボン協定四十五条、地上演習、四十六条、航空演習など、訓練につきましても詳細に規定をいたしております。低空飛行問題でさまざま問題が起きておりますが、低空飛行に関する協定締結が十六条の三にボン協定はございます。あるいは、被害を受けた土地の三カ月間の不使用という項目もございます。
施設・区域の設置、使用、返還に関する規定もございます。最小限の限定のための、需要の点検、四十八条五にございます。ボン協定ですね。それから、一定期間ごとの計画申告、要するに必要であるかどうか厳しくチェックをする。ボン協定では四十八条の一にございます。
国内法の遵守義務がございます。地位協定では十六条に日本法令の尊重という言葉がございますが、ボン協定では、ドイツ法と同等の、またはより厳しい内容を有する派遣国の国内法規を適用することができる、五十三条の一などがございます。
さまざま、それについては例がたくさんございまして、私の方も、これは自社さ連立の当時に共同でやったことなんですが、詳細な比較一覧表などを協力を得てつくっているということでございました。余り違わないのではありません、非常に違うというふうに思いますが、いかがですか。
○竹内政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたのは、NATO地位協定、ボン協定で改正されたりいたしておりますけれども、両者を比較いたしまして一概にどちらが有利かということを論ずることにはなかなか困難な点があるだろう、適当ではない点があろうということでございます。
それで、先生今例を挙げられました。確かに、そのような規定がボン協定にあることは、NATOの地位協定にあることは承知いたしております。
ただ、いろいろな運用というものもございます。例えば、刑事事件に関します被疑者の拘禁の問題ということを例にとってみますと、これは、NATOよりも我が日米地位協定の方が日本側にとって有利と申しますか、拘束について日本側にとって有利な規定ということになっております。
それから、もう一つ例を申し上げますと、例えば、今先生挙げられました低空飛行訓練に関する規制でございますけれども、確かに、日米地位協定には低空飛行に関する規制そのものは、規定はございません。確かに、法令尊重義務ということで日米地位協定では扱っているわけでございますがこれも御案内のとおり、最近、低空飛行につきまして、日米の合同委員会で公表文書を取りまとめました。
その中におきまして、日米間の申し合わせといたしまして、米軍が低空飛行訓練を行います場合にも、国際民間航空や日本の航空法により規定された最低高度基準、これは、人口密集地では三百メートル、その他の地域では百五十メートルでございますけれども、こういった基準を用いているということで、米軍としてもこれを適用しているということになっているわけでございます。
それに比しまして、ドイツにおきましては、五百フィート、すなわち百五十メートル以上の飛行訓練は原則としてドイツの全土で訓練が可能であり、また、特定の空域においては七十五メートル以上の訓練が可能であるというようなこともあると承知しております。
ちょっと長くなりましたけれども、いろいろ規定ぶりについて、大体似通ったことが大部分でございますけれども、それは、規定ぶりは違うところはございます。ただ、どちらが有利かということについてはなかなか一概に比較はしにくいであろうということでございます。
○伊藤(茂)委員 認識が非常に違います。
申し上げますが、こういうことがございました。
平成七年十月二十四日、私ども連立与党を組んでおる当時ですが、沖縄で大きな事件が起こりまして、地位協定をどうするのかということにつきまして、専門家会議をつくりまして協議をしたことがございます。ふつつかですが私がその座長を務めましたから、よく覚えております。
そのときに、自由民主党座長中山太郎さんから、新党さきがけから、社会民主、当時社会党から、それぞれ文書で提案を出しました。そして、こういうことにつきましてどうしていくのかということを議論いたしました。外務省の答弁がございますけれども、私どもは、例えば国会図書館とかいろいろなところの協力を得まして、あるいは専門家の意見も聞きまして、NAT○とかボン協定の場合と日本の場合と、詳細な一覧表を何種類かつくりまして、随分勉強したわけであります。場合によっては、それではドイツに与党共同で行こうじゃないかという議論もいたしました。
そのときに、各党が出しましたが、自由民主党から出されました文書の中には、一つは、当時問題でしたから、十七条、刑事裁判事件の改善の問題がございます。もう一つは、そのほかのさまざまな問題について、これからの課題である、真剣に自由民主党として取り組むことにするという書面が残っております。したがいまして、今のままでいいという認識とは違う共通の議論が実はあったわけでございます。
私は思うんですが、今度の新ガイドラインでもさまざまな議論がございますけれども、やはり、主権国である日本として主体的にどういう判断をし、どう対応するのかということが非常に大事なことだろう。また、イコールパートナーシップでございますから、はっきりノーというとちょっと選挙を思い出しますけれども、やはりそういうのは非常に大事だということなので、主権国の権威として、こういう問題について、国際的に立派な国だと言われるだけの発言と対応をしていくというのが、ある意味では日米間の本当の信頼の道ではないだろうかというふうに思うわけでありまして、そういう書面も残っておりますから、大臣、今のままで結構ですというだけではいかない、不断にさまざまの改善、改革の努力をするというのは当然のことではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
○竹内政府委員 その点は先生御指摘のとおり、いろいろな改善に取り組むべきことはそのとおりだろうと考えておりまして、政府としては地位協定の運用の改善に従来から取り組んできているところでございます。
ちょっと例を挙げますと、例えば平成七年十月に、先生御指摘の事件の後でございますけれども、刑事裁判手続を改善いたしまして、被疑者の身柄を起訴前に引き渡す道を開いたということがございます。さらに平成八年十二月のSACO最終報告におきましては、さまざまな改善措置を盛り込みまして、それを実施しているところでございます。
日米面国政府とも、このSACOの最終報告に明記されているとおり、今後とも地位協定の運用の改善のために努力を継続することといたしておりますし、新たな指針の策定によってこのような政府の努力を怠るようなことになるということは、決してございませんで、努力は引き続き続けていく必要があるということでございます。
○伊藤(茂)委員 私どももさらにこの問題を取り上げてまいりたいと思いますが、真剣な努力を強く要望していきたいと思います。
要するに、この新ガイドラインという問題の機会に改めてさまざまな制度について思うわけでございまして、この前の平成七年の協議のときには、沖縄問題について、自動車のナンバープレートとか、若干の部分的な改善は確かに私ども共同でやったわけでありますが、また米側もそれに応じたわけでございますけれども、不断に努力をするということが求められているということだと思います。
それから、防衛庁長官に次に伺いますが、包括的メカニズム、調整メカニズムという問題がございます。さまざまな議論がございました。
私が一つこれで懸念を感ずるのは、包括的メカニズムが具体化をし、幾つかの段階に分かれましてそれぞれ始まっているということになるわけでありますが、その内容を見ますと、例えば一番上にはSCC、2プラス2、それからSDC、BPCというふうな仕組みがございますし、日本政府の関係省庁局長クラスの会議、十七省庁というのもございます。
ただ、私はそれを見ますと、つまるところ対応措置なりプランをどうつくるのかということは、どこかでつくって上に上げる。やはり一番べースになる部分というのは、結局BPCという、自衛隊の統幕会議とか陸海空の幕僚監部とか在日米軍司令官とか太平洋軍代表とか、要するに武官のところですね。武官のところが結局ベースになって物事が決まって上げられていくということになるのではないだろうか。
したがいまして、私は、あらゆる部面でやはり国会の報告だけではない国会承認というのが非常に大事なことではないだろうかというふうに思いますし、何か武官が中心で決めるところがベースになるという懸念を感ずるわけですが、いかがでしよう。
○野呂田国務大臣 今委員から御指摘ありましたとおり、指針のもとで日米共同作業を実施するための包括的なメカニズムは、自衛隊及び米軍の関係者により構成される共同計画検討委員会のみならず、日米安全保障協議委員会を初めとするそれぞれの政府の他の関係機関が関与しているわけであります。
ガイドラインにおきましては、日米安全保障協議委員会が包括的なメカニズムにおける作業についてまず指針を提示し、作業の進捗を確認し、必要に応じて指示を発出する責任を有する旨明記されておるところであります。
このように、BPCの作業は、日米両国の防衛外交関係閣僚から構成される日米安全保障協議委員会の示した指針や指示に従って行われるものであり、両国の軍事専門家の決定がベースになっているとの御指摘は必ずしも当たらないのではないかと考えます。
○伊藤(茂)委員 防衛庁長官、当たらないと申されましたが、つまるところ、言うならば最終的には閣議決定、統幕会議の決定、基本計画、この国会とのかかわりはただいま各党間でも議論されているとなるわけでありまして、ところが、そういうプランをつくる一番の原案というものは、結局日米間の今までの御相談と今の進んでいる仕組みの中では、何段階かございますけれども、だれが考えてもその仕組みをずっと見れば、2プラス2、一番上のSCCのところが最初に決めるわけじゃないわけですから、どっちにしたって具体案をどうつくるのかという原案はBPCでできるということになるだろうと私は思うんですね。ですから、そういう不安とか懸念というものは感ずるところだと思うので心配ありませんというだけではなくて、そうではない証拠をもうちょっと説明してほしいのです。
○野呂田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、包括的なメカニズムにおける作業については日米安全保障協議委員会が方針を提示するわけであります。まず方針を提示するわけであります。そして作業の進捗状況を確認して、必要に応じて指示を発出する責任がある、こういうふうになっておるものですから、私はそれによって、単に軍事専門家の決定がべースになっているというだけではないという趣旨を申し上げたわけでございます。
○伊藤(茂)委員 もう一つ防衛庁長官に私の懸念する心配事を質問したいと思います。いわゆる有事立法の動きでございます。
小渕総理も再三にわたりましてその必要性を発言されていることをマスコミでも拝見をいたしております。また、先ほど来、当委員会の議論の中でも、自治体、民間の協力、第九条関連につきましてさまざまな議論がございました。私はこれから先、強制はしないと言っておりますけれども、何かやはり、もっとそういうことが強制的にというのか思いどおりにというのか、行われるような方向への動きというものが、いわゆる有事立法の内容という危険性があるのではないだろうかということを思うわけであります。
実は私の思い出になるわけですが、ベトナム戦争当時に横浜で村雨橋の事件というのがございまして、国内の道路交通法関連の車両制限令に違反をして、米軍の修理した戦車がノースピアからべトナムに出ていく。これは法律違反ですから、法令違反ですから、これはおかしいということでストップさせたことがございます。当時の横浜市長と当時の建設大臣と何遍か協議をして、結局、一番最後は政令の方を改めたというふうな経過になっております。
そんな地元の思い出がございまして、振り返りますと、何か有事立法の研究、それから今さまざま問題になっている自治体への協力依頼の関係などについて、より日米の軍事関係が優先して国内法の方を直すとかいう動きになるのではないかというふうな懸念を感ずるわけですが、有事立法で防衛庁が中心になって研究している全体までは申しませんが、そういう視点のところで一体どういう研究をして、そういう懸念がないのか。いかがですか。
(委員長退席、中山(利)委員長代理着席)
○野呂田国務大臣 有事法制というのは、例えば防衛出動を命ぜられるという事態において、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題に係る法制について有事立法というふうに私どもは理解しておりますが、先生御指摘のとおり、二十二年間私どもはこれを勉強してまいりまして、昭和五十六年四月それから昭和五十九年十月、それぞれ中間的な報告を行ったところであります。
私は、二十二年間の蓄積に基づいた研究でありますから、単に研究にとどまらず、法制化されることが望ましいということをこの委員会でも申し上げてきたところであります。
そして、これは私だけの発言じゃなしに、例えば平成六年の六月十四日に国務大臣神田厚君が、防衛庁としては、一般的にはこれらの検討結果に基づいて法制が整備されるのが望ましいと思っておりますと答弁しておられますし、平成九年平成十年それぞれ、「防衛庁としては、有事法制については、当然のことながら、研究に止まらずその結果に基づき法制が整備されることが望ましい」というふうに防衛白書でも書かれているところであります。
内容につきましては、例えば、今先生からも御指摘ありました道路の場合でいえば、道路が欠落して穴があいたのに、道路管理者は何ヵ月もかかる、自衛隊ならば即日直せるというような場合にそういうことを認めてほしいとか、あるいは、海岸に相手国が上陸してきた場合に、海岸に簡単な構築物の陣地をつくりたいという場合に、今のままでいけば、三週間もかからなければ許可が建設省や運輸省や農林省からおりないということでは、これは対応できない。あるいは、簡単な指揮所をつくる場合に、建築基準法で三ヵ月の許可の期間がかかる。こういうようなことでは防衛出動では全く役に立ちませんから、そういう問題について、直させてほしいというようなことがこれまでの研究の成果である、こういうことを申し上げておきたいと思います。
○伊藤(茂)委員 防衛庁長官、そういうことが先に来るから僕はおかしいと。
私は、気持ちの一端を申しますと、五年前の北朝鮮核疑惑をめぐる非常な緊張状態がございました。最後にハリソンさんとか、それからカーター・金日成会談で収拾をされ、ジュネーブ協定になり、米朝合意になるという経過で来たわけであります。
私は、五年前のあのときのあの緊張状態の中の半分ぐらい、内閣の一員でございました。しかも海上保安庁を担当しておりました。社会党出身の閣僚でございますから、万々一何かあったらどうしたらいいんだろうか、どうなんだろうか、自分の考えと、自分の見識と申しましょうか政治信条と、大変な深刻な思いの議論を随分したことがございます。
結局、カーター・金日成会談などで収拾されまして、そのとき思ったことは、やはり我が国はほかの国と違ってアジアでも非常に大きなポジションを持つ国でございますから、さまざま、いろいろなコストがかかっても、やはりそういうことが起きない努力を日ごろ、外交、経済含めてやるということがまず大事だ、それから、何かやる場合でも、しかし日本の憲法とかを越える、日本の国のビヘービアを越えるようなことをしてはならぬというふうな思いがあの経過でございます。
そういう努力がまず先なので、私どもも、ですから、そういう議論とそういう大きなグランドデザインの議論をどうするのかということをやるのが政治家の使命だろうというふうに思うわけでございますけれども、大臣の最後の答弁で気になるのですが、何かガイドラインとかこういう案件が、周辺有事とか起こった場合どうするのかということが先行して、現在の国内法のさまざまの法的、政令的な秩序を変えるということが先に出てくるというのは、私は非常におかしいんじゃないだろうかと思うのです。
やはり端的にお答え願いたいのですが、現在の国内法のさまざまの秩序、それは、具体的には、道交法もあるでしよう、航空法もあるでしょう、港湾法もあるでしょう、港則法もあるでしょう、いろいろありますが、ということについて、国内法の秩序を変えるというふうなことをお考えなんですがどうなんですか、否定していただきたい。
○野呂田国務大臣 私も、委員が御指摘されたように、まず外交努力が一番重要で先行すべきことだということは当然のこととして理解しております。私が短兵急にこういうこと、有事法制が望ましいと言ったのではなくて、二十二年間研究してきたわけですから、そういう成果についてどういうことを考えているかと言われたのでさっきの事例を申し上げたわけでありまして、私どもとしては、このガイドライン法とは全く関連なしに、もうガイドライン法の二十年以上も前に始めたことでありますから、もうそろそろこの研究から立法化されるような方向へ行くことが私としては望ましいと。これは歴代の防衛庁長官みんなそう答えているわけでありますので、そのことを御理解いただきたいと思います。
○伊藤(茂)委員 さらに論争しましょう。
大蔵大臣、お越しいただきましてありがとうございます。外務省にもあるのですが、時間もあれですから、宮澤さんにお伺いさせていただきたいのですが、思いやり予算の問題です。
二つございまして、一つは、ほかの国と比べましたら、韓国、ドイツ、その他いろいろな国と比べましたら、何十倍とか、もっと多いとかいうようなことが言われてまいりました。この数十年間に急増したわけであります。
それから、よくマスコミに紹介されておりますけれども、非常に気前がいい日本であるとか、さまざまのアメリカ側の責任者の発言がございます。有名な前の国防次官補のナイさん、カリフオルニアに駐留させるよりも日本に部隊を駐留させる方が安上がりである、日本は受け入れ支援で最も気前のいい同盟国である、一九九五年には、日本の負担は給与を除いた米軍経費の七割を上回っているなどとか、あるいは、これも同じ、沖縄問題でも角を突き合わせました前のロード国務次官補のアメリカの議会での証言でございますけれども、日本の米軍部隊への直接の財政支援は年間ほぼ五十億ドル、経費の七○%、これは他のすべての同盟国を合わせたよりも大きい。大変大きな評価を受けているということになるわけであります。
私は、さっきも申し上げましたように、外交、経済を含みまして、より平和的な戦略を執行するためのことについては費用を借しまないというぐらいの気持ちを持って我が国はやるべきだろうというふうに思います。しかし、軍事予算の面で、ほかの国と比べてみましてもえらく突出したことをやっている。また、こんな言葉遣いでアメリカの責任のある方々が表現をされている。二面ございまして、一つは、きのうも赤字財政を憂える会という勉強会がございまして、何か武村さんが一生懸命ですから、百人以上の国会議員が集まって勉強で、みんな心配しているわけでありまして、国民的な心配ですね。そういう状況の日本のピンチの中で、こんな状態が続いていいんだろうか。財政再建の、宮澤さんに御質問させていただきました議論の中では、どこにも聖域はないということを申したわけでございますけれども、妥当なんだろうかということと、それから我が国の対応として、アメリカの議会に責任ある政府の方々がそういう発言をするということでいいんだろうかという疑問を感ずるわけでありますが、特に財政を担当なさる責任者としてどうお考えでしようか。
○宮澤国務大臣 お尋ねくださいましたので、お考えと違うことを申し上げるかもしれませんけれども、どうぞお許しをいただきたいと思います。
いつぞやこの委員会でお尋ねがあって申し上げましたが、安保条約が締結されましたのは昭和二十六年、サンフランシスコでございますが、私は全権随員として参っておりました。そのころの日本の国力と今日と比べますと、もうもとより申し上げるまでもない今日の日本でございますから、殊にアメリカが途中で財攻赤字があったりしたこともございまして、いろいろ要請があって、日本として筋道の立つものなら負担をすることがいいのではないかと私自身は考えてまいりました。
昭和五十二、三年ごろからでございますが、協定の枠内、それから特別協定というふうにだんだんふえてまいりましたが、私は、我が国が国力からいってできることはやはりした方がいいという気持ちを終始持っておりまして、殊に、御承知のように、この安保条約が片務的だという問題がございまして、いわば日本のただ乗り論というのが時々アメリカの中で横行するという現状もございまして、そういうことは、我が国としてはやはり、よその国とは違う事情にあるということを私は考えてまいりました。
それから、今ジョセフ・ナイあるいはウィンストン・ロードのことをおっしゃいまして、確かにアメリカの軍としては、軍に金を使うことに、もちろん国内にもう少し縮小できないかという批判がありますし、海外に派遣することはいわんやむだではないかという議論がしょっちゅうございますので、そのときに彼らが、ホスト・ネーション・サポートと言いますが、日本はそういうことをしてくれているんで、日本に派遣することによって決してアメリカにとっての過剰な負担になっているんではないということを国内的には話しておる。国内的に話しておる限りで、それは我が国にとって決して不利な説明ではないというふうにずっと私は考えてまいりました。
財攻は確かに厳しゅうございますけれども、日本の安全に関することであったら、やはり削減するのは一番それは最後だ、ほかに削るところがあったら削らなきゃならないぐらいに私は考えております。
お言葉に逆らって申しわけありません。
○伊藤(茂)委員 時間ですから終わりますが、宮澤さんほどの人だからもうちょっと問題意識を持ったいい御答弁をいただけるのかなと思いましたんですが、ちょっとがっかりいたしました。
ただ、何か起こるに備えて軍事的にお金がかかるというよりも、やはり何か平和な時代をつくるためには金を借しまないというのがあるべき気持ちではないだろうかというふうに思いますので、さまざま御検討、御努力をお願いしたいと思います。
以上で終わります。