1999年9月30日

ジェー・シー・オー東海事業所の放射能漏洩事故について(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 渕上貞雄

 1999年9月30日午前10時35分頃、茨城県東海村の株式会社ジェー・シー・オー(本社東京都港区)東海事業所転換試験棟で大規模な放射能漏洩事故が発生した。科技庁によれば、施設敷地境界(南西側)で通常の4000倍に達する最大0.84mSV/h(ミリシーベルト毎時)を記録したとのことである。周辺住民50世帯が避難し、現場から3km以内の道路が封鎖、周辺の町村では幼稚園や小中学校に窓を閉め外に出ないよう指示するなど、住民の不安は極限に達しようとしている。また、作業員3名が被ばくし、嘔吐や頭痛などの症状を訴え、重症とのことである。

 詳細はいまだ不明であるが、絶対に起こってはならない臨界事故(核分裂連鎖反応を伴う事故)が発生した可能性が高い。また国内の原子力施設の被ばく事故で重症者がでたのも初めてのことである。法令による一般公衆の線量限度が年間1mSVであることを考えても、かつてない深刻な放射能漏洩事故として強く批判するものである。

 今後、まず株式会社ジェー・シー・オーと通産省、科学技術省など関連当局は、速やかに地域住民の安全を確保し、現場労働者の健康と安全に万全の対策を行なうとともに早急に事故処理を進め、これ以上に事故が拡大しないために全力を尽くすべきである。

 また、速やかに可能な限り正確な情報を公開し、地域住民や国民の不安に応えるべきである。もんじゅ事故、東海再処理工場事故などの教訓を生かし、自らに不都合な情報も含めて、十分な情報公開を行わなくてはならない。それなくして住民の信頼を得ることは決してできないからである。

 さらに、事故処理と並行して原因究明と再発防止策を徹底して行わなくてはならない。絶対に起こってはならない臨界事故が起こったと考えられること、さらに大量の放射能が環境中に漏洩し地域住民に極めて大きな不安を与えていることなどを考えると、原子力発電の是非も含めて改めて根本に立ち返って議論する必要が生じるだろう。

 被ばくした作業員の方の回復を願い、事故がこれ以上拡大しないことを願いながら、社会民主党として二度とこのような事故を起こさないための取り組みをさらに強化していく決意を表明するものである。

以上