一,本日、介護保険制度が施行された。介護保健法は「介護の福祉化」と介護を必要とする方の自立支援を進める社会保険として3年前に成立したものである。「与えられる」福祉から「選択する」福祉への転換を図る介護保険のスタートは、日本の社会保障にとって新たな1ページとなるはずである。
一,しかし、小渕・自自公政権は、スタートにあたり介護保険をゆがめ、理念を根底から転倒させている。政府の「特別対策」は、1兆円規模の公費を投入した選挙目当てのバラマキにすぎない。「保険料の徴収凍結」は社会保険の意義を放棄するものであり、「慰労金」は家族に金品を与えれがいいという、不見識な発想である。こうした小渕政権の見当違いな政策により今日に至っても、ヒューマンパワーをはじめとした介護サービスの基盤整備が大幅に遅れ、不幸なスタートになったと言わざるをえない。
一,社会民主党は、1994年に日本の政党として初めて公的介護システムの確立を提案した。自社さ連立政権の政策合意において介護保険制度の創設が合意され、介護保険法の審議にあたっても社民党を中心に、利用者本位の観点から修正を行うなど、一貫して「介護の社会化」や権利の確立に取り組んできた。
一,社民党は、介護サービスの基盤整備を集中的に進め、同時に、介護保険と車の両輪となる老人保健福祉事業を抜本的に拡充すべきである、と繰り返し主張してきた。基盤整備のための特別措置法の制定や、整備率を大幅に引き上げた「スーパー・ゴールドプラン」(仮称)の策定などにより、在宅サービスを中心とする基盤整備に全力を挙げるべきである。とりわけ、ホームヘルパー100万人などの目標を掲げ、サービスの担い手となる福祉ヒューマンパワーを養成・確保するため、身分・賃金保障の確立によって雇用機会を拡充し、誇りの持てる介護・福祉の職場にしていかねばならない。また、認定漏れやサービス水準の引き下げなどに対しては、市町村の一般施策を拡充し、従前のサービス水準を保障するなどきめ細かく対応していく必要がある。
一,介護を必要とするすべての方が利用しやすい介護保険とすることが大切である。先進的な自治体ですでに取り組まれているように、住民・被保険者参加の仕組みをもつ条例の作成や、保険料・利用料の細分化や低所得者に対する減免措置などきめ細かな配慮、事業者の情報公開やサービス評価制度の確立、第三者機関によるオンブズパーソンなど、住民参加と利用者保護を大原則とした介護保険の運営・実施が求められる。
一,社民党は、「分権・参加・生活」でつくるしなやかな福祉社会の創造に向けた第一歩として、この介護保険を位置づけ、若年障害者の課題や、第2号被保険者の保険料負担・徴収問題、医療と介護の線引きの明確化、など施行後も絶えず見直しを求めていく。新制度移行に伴う不安や施行後の混乱に対してきめ細かく対応し、住民の手で制度を充実させていくことに全力を挙げる決意である。
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