1999年10月27日

介護保険制度の負担軽減案について

社会民主党 介護保険対策本部
本部長 土井たか子

一、自民、自由、公明の与党3党は、介護保険制度について、保険料の徴収を凍結し、家族介護には現金支給を行う方向で、見直し協議を進めているとされる。
 これらは、介護保険を根底から覆し、制度を崩壊させるものである。保険料の代替財源についても何ら示されず、無責任きわまりない。たとえ国費で対応するにしても負担するのは国民であり、将来的な消費税率引き上げの原因になると思われ、国民を愚弄したものである。いずれにしても「選挙目当て」にほかならず、バラマキの誹りを免れない。

一、「保険料の徴収凍結」は、社会保険としての意義を放棄するものであり、断じて認められない。介護保険は、要介護認定がすでに10月から始まり、来年4月のスタートを目前に控えている。これまで精力的に準備を進めてきた自治体に対し、事務的にはもとより、来年から施行される新たな地方自治法における条例制定においても、大混乱を持ち込む。同時に、制度を待ち望む多くの要介護者とその家族の不安を増大させ、国民の政治に対する信頼を損なうばかりである。
 「家族介護への現金支給」についても、介護の社会化という制度本来の趣旨に反する。自民党の亀井政調会長は、「子が親を介護する美風」と発言したとされるが、そもそも、介護のために離職する家族が年間10万人にも達する事実や、介護疲れ・虐待という悲惨な現実が介護保険を生んだのである。

一、介護保険料が高くなる市町村では、被保険者、とりわけ低所得の方々に過重な負担を強いることになる。社民党は、市町村の保険料格差を是正するとともに、保険料・利用料について低所得者に対する徹底した配慮を行うべきと考える。
 また、介護サービスの基盤整備状況のバラツキや遅れが、制度への不安を助長している。社民党は、整備率を引上げた「スーパー・ゴールドプラン」(仮称)を策定・実施し、ホームヘルパーなどの雇用創出・身分保障を早急に行うべきと考える。

一、制度に対する多くの期待と準備の努力を裏切らないためにも、予定通りの円滑な実施と不安解消に向けた国の積極的な施策が不可欠である。社民党は、その実現に向け全力を挙げて取り組む決意である。

以上