2000年1月19日

社会民主党    
幹事長 渕上 貞雄

憲法調査会に対する社会民主党の対応について

1,わが党は、1月13日に開かれた第61回常任幹事会で、第147通常国会で設置される憲法調査会に参加することを決定した。昨年の第145通常国会では、憲法調査会設置に反対してきた経過からして、ここでその見解を明らかにする。

1,わが党は、憲法調査会が「広範かつ総合的に調査を行なう」という名目で、実質的には憲法前文と第9条の改悪を戦略的に目論んでいる、との認識に何ら変わりはない。しかし今後は、国会が憲法調査会をベースに憲法論議を行なうという、新たな段階に入ったことを認識しなくてはならない。

1,従ってわが党は、これまでの基本的態度を堅持しながら、憲法論議に主体的、積極的に加わり、国民に開かれた議論が展開されるよう努力しなくてはならない。むしろ国会が自自公という奇妙な数合わせによって運営され、慣例や合意がことごとく壊されている現実を国民とともに監視し、チェックすることが重要な課題となってきた。

1,それでも憲法調査会を巡る状況は、厳しくなっているとみなくてはならない。改憲派は、世論の誘導、改憲草案の作成、国会の議決と国民投票を想定した論議が、既定ののコースにあるかのような態度で憲法論議をリードする動きを強めている。論議それ自体は必要である、として論議には参加する政党や議員もいるが、流れをリードしていない。

1,昨年の第145通常国会が、戦後手をつけることの出来なかった悪法の数々を強行成立させたその象徴が、憲法調査会の設置であったことは明らかである。かつて憲法改悪が目論まれた時には、当時の社会党はこれを拒否し阻止した。しかし現在は、国会で護憲勢力が3分の1に達せず、わが党が憲法調査会への参加を拒否すれば、護憲勢力の見解は無視され、憲法改悪への流れが加速されるとみなくてはならない。

1,わが党は、これまで繰返し主張してきたように、世紀末を迎えた今日、憲法のもつ平和主義、民主主義、基本的人権の尊重という理念は新しい時代に継承発展させるべきものであると、強く確信している。この際、これから設置される憲法調査会のなかで、国民とともに、わが党の見解を積極的に主張しつつ、改憲の意図を打ち砕くために全力で取り組みたい。