2001年6月29日
第151通常国会の閉会にあたって(声明)
社会民主党
- 本日、151日間にわたった第151通常国会が閉会した。
今国会は、特定団体による自民党の大量の架空党員のデッチあげや巨額の党費肩代わりという自民党の本質に関わるKSD疑惑が発覚する中で、自民党と森自公保内閣に国民の厳しい批判が集中し、会期中に内閣が交代するという波乱の展開となった。一方で、長期にわたる不況の中で厳しい生活と将来不安を抱える国民にとっては不満の残る実りの少ない国会であった、といわなければならない。
- KSD疑惑や機密費疑惑、そして「えひめ丸」問題や直後の森首相のゴルフ会員権無償譲受けなどが相次いで発覚する中で、森内閣に対して国民の厳しい批判が集中し、森内閣の支持率は軒並み10パーセントを切る事態となり、政権の体を失うに至った。野党は、内閣不信任決議案、問責決議案を提出、責任を厳しく追及したが与党はこれを否決、国民の意思と国会の意思は大きくかけ離れた。しかし、与党内においても、森内閣の退陣は避けられない事態となり、既定の事実となったにもかかわらず、森首相は退陣を否定し続け、国会を著しく軽視する対応となった。
- 2001年度政府予算は、公共事業バラ撒きの従来型利権誘導であり、国民生活に背を向けるものであることは明らかである。わが党をはじめとする野党はこぞってこれに反対、機密費の削減をはじめとする組替え案を提出した。しかし、与党は数の力を持って予算を成立させ、直後に森内閣は総辞職した。野党は、野党への政権の移譲を強く主張したが、自民党は国会を空転させて総裁選を行い、小泉純一郎氏を総裁に選出、4月26日に自公保連立による小泉内閣が成立した。
- 小泉首相は、靖国神社の公式参拝や集団的自衛権の行使、さらには憲法第9条の改悪に言及するなどタカ派的体質を露にしている。また、一枚看板である、「聖域なき構造改革」は具体性がないばかりか、基本的には市場原理至上主義による「弱肉強食」であることが次第に明らかになっている。しかし、首相は党首討論においても抽象的な答弁を繰り返すばかりで議論が煮詰まることはなかった。森内閣が退陣に至った最大の要因であるKSD疑惑や機密費疑惑の解明や政治改革をはじめとする自民党の改革には極めて不熱心である。
- 今国会では、超党派による「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(DV法案)」が成立し、社民党がその原動力となったこと。党が他党にさきがけて提唱した航空機事故調査委員会を改組した航空・鉄道事故調査委員会が設置されるなどの成果をあげた。また、教育の国家統制強化につながる教育三法や国民生活の向上の視点を欠き、労働者に一方的に犠牲を強いる特殊法人改革基本法、住民トラスト運動つぶしにつながる土地収用法の改正案などには厳しく反対したが成立を許すこととなった。個人情報の保護に関する法案や地方自治法一部改正案は継続審議となり、臨時国会での取り組み強化が必要である。また、歴史的事実を歪曲する教科書についてわが党などの強い反対にもかかわらず、文部科学省は検定を合格させ、近隣諸国の大きな反発を招いている。今後、採択させない運動を強化しなければならない。
- 熊本地裁における「ハンセン病国家賠償訴訟」については、元患者の方々の熱意と行動、そしてわが党をはじめとする野党の強い要求の中で、政府は控訴断念を決断、しかし、補償立法については議員立法にゆだねるなど、内閣としての見解を欠き、小泉内閣の無責任さが明らかとなった。一方で、大阪地裁における「在外被爆者訴訟」については、これを控訴、ハンセン病訴訟での決断が一過性のパフォーマンスにすぎないことを露呈した。
- 今国会では、数の力に驕り、国会を軽視し、汚職にまみれる森自公保内閣及び小泉内閣に対し、野党4党が結束を固め、党首会談の積み重ねや参議院選挙の選挙協力にまで共闘を強化することとなった。
- 小泉内閣は、森内閣への反動もあって高い支持率を得ているが、小泉内閣の意思として今国会に提案された法案はゼロに等しく、「聖域なき構造改革」は痛みとガマンを強要するばかりで具体的内容ははなはだ不明確である。明らかなことは、平和憲法の改悪を意図する極めて危険な体質を持ち、弱い立場の人々にさらなる犠牲を強いる方向にあることである。また、今日の政治不信の最大の要因であり、小泉首相を支える自民党の体質は何らの変化はなく、首相が交代したからといって政治の改革は臨むべくもない。社民党は、このような小泉内閣、自民党政治と厳しく対決し、国民生活の安定と将来不安の解消、そして平和憲法を守り、世界に広げるために、直面する参議院選挙勝利に全力をあげる決意である。