2001年9月20日

小泉首相の国会軽視に抗議し、支援策に反対する(声明)

社会民主党

  1. 小泉首相は昨夜、突如として記者会見を行い、アメリカのテロに対するわが国の支援策を一方的に発表した。昨日の参議院予算委員会において、政府は、「支援策は確定していない。検討中である」との態度をとっている。にもかかわらず、舌の根も乾かぬうちに、国会にはかることもなく、審議もなく、決定もないまま、一方的に記者会見を行うことは、甚だしい国会軽視であり、議会制民主主義に対する冒とくである。社民党はこうした手法にまず、厳重に抗議する。

  2. ビンラディンが犯人であるという証拠が示されないまま強行されようとしているアメリカの報復行為は国際法上疑義があるといわざるを得ない。加えて、報復内容も確定しておらず、具体的な要請もない中で、一方的に軍事的報復に加担することは唐突である。また、内容的にも、憲法の規定を踏み越え、現行法にも抵触するものが含まれており、到底容認できるものではない。

  3. 「米軍『等』に対して、医療、輸送・補給等の支援活動を実施する目的で、自衛隊を派遣するための所要の措置を早急に講ずる。」とあるが、『等』に多国籍軍が含まれるとすれば、これまでの政府見解を大きく逸脱することは明らかである。また、中東に展開すると予想される米軍への後方支援は現行の周辺事態法に抵触することはもちろん、憲法の禁ずる自衛隊の海外派兵に道を開くものと、いわなければならず、容認できるものではない。

  4. 「米軍施設への警備強化」は、自衛隊法の改正による自衛隊の出動を想定したものと考えられるが、これは、自衛隊による警察権への介入であり、治安出動につながる危険が大きい。

  5. 社民党は、「同時多発テロ」を口実に、憲法の制約を乗り越える政府の支援策に断固反対する。今、わが国がなすべき国際貢献は、平和憲法に則り、平和的手段による紛争原因の除去に対する協力であり、今まで培ってきた、イスラム社会との交流を尊重し、外交手腕を発揮することである。