2001年5月17日
衆議院議長
綿貫 民輔 殿
社会民主党 党首
土井たか子
小泉純一郎内閣総理大臣は、5月15日午前の衆議院予算委員会において、集団的自衛権の行使に関して、自民党の山崎拓幹事長が「国会決議を行なうことで容認していいのではないか」と発言していることについて、「一つの方法ではないか」と答弁された。小泉総理はこれまで集団的自衛権の行使は「憲法9条の範囲を超えるもので許されない」との従来の政府解釈に沿って答えてきたが、この発言は従来の政府の姿勢を大きく転換させることにつながりかねない重大なものである。
長年にわたる国会での議論の積み重ねのなかで形成されてきた、集団的自衛権の行使が憲法に反するという政府解釈を、一内閣の判断で変更することは許されない。まして憲法に反する集団的自衛権の行使を国会決議によって認めることを許せば、国会が憲法違反に手を貸すことになる。最も厳密に日本国憲法を守らなければならない国会を、憲法違反を正当化する道具としようなどということは言語道断といわざるを得ない。
これまで国会決議は全会一致が慣例であるが、集団的自衛権を発動するために反対を押し切って決議が行なわれることとなれば、国会決議の権威は地に落ち、国会の機能は根本から変質させられることになる。
社会民主党は、小泉内閣の憲法軽視と、ご都合主義的な国会利用の姿勢に対して、厳しく対決していくものである。衆参議長におかれても、長年の国会審議との整合性を確保し、国権の最高機関としての権威を守るため職責を果たされるよう、以下の点について申し入れるものである。
記
以上