2001年8月15日

21世紀最初の8・15を迎えて

社会民主党

1.日本の進路を熟慮する日
 先の大戦が終わりを告げてから、56年の歳月が流れました。21世紀最初の敗戦記念日となる本日、私たちはあの戦争によって犠牲となられた内外の多くの人々に思いを馳せるとともに、当時日本に侵略され、植民地にされたアジア諸国の被害や、沖縄・広島・長崎などの惨状を想起することによって、改めて不戦の決意と平和への意志を確かめ、これからの日本の目標や進路について熟慮する機会にしたいと思います。

2.過去の反省を生かせない日本
 私たちは、満州侵略から15年間に及ぶ軍国主義の時代をきびしく反省し、人間の尊厳を基本とする不戦・非武装の憲法を制定しました。しかし、自衛の名による強大な軍事力の復活と憲法9条改正への動き、戦争責任者が神として祭られる靖国神社への総理の参拝、日本の歴史について自己批判の勇気を持たず侵略目的でなければ戦争できるという立場の歴史教科書の発行、あるいは再び核軍拡競争に火をつけようとするアメリカへの理解と追随などで明らかなように、今日の日本はとうてい過去の反省を生かしているとは言えません。

3.平和的生存権が守られない世界
 いま世界では、イスラエル・パレスチナ間をはじめ民族・宗教間の武力紛争が止むことなく、飢餓や難民問題に苦しむ貧困国が過大な軍事費支出に喘ぐ状況が多く見られるばかりでなく、「グローバリゼーションと大競争の時代」が進み、経済や貧富の格差が世界的に拡大するとともに、地球環境や生命倫理の深刻な問題を生み出しています。これらは、憲法で確認された「全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」の保障から程遠い実情にあると言わなければなりません。

4.世界平和建設国家として再出発を
 21世紀における日本の進路は、自国ばかりでなく世界中の人々の平和的生存権が守られるようにする立場から、平和の維持・回復と紛争原因の除去に努め、「世界平和建設国家」として再出発することにあると思います。また異なる民族、文化、宗教等の相互理解と信頼醸成が、平和的生存権の保障に直結することに思いを致し、わが国の社会を多様な価値観と生活様式が共存する「多元的共生社会」とする必要があります。これら諸目標を鮮明にするところから再出発する日本――この機会に私たちは、そこに向けて全力を尽くすことを誓い合いたいと思います。

以上