1999年12月27日

名護市長の移設先引き受け表明について(談話)

社会民主党    
幹事長 渕上 貞雄

       

1 本日岸本名護市長は、普天間基地の代替施設の移設先を名護市が受け入れることを表明した。
 新たな基地がどれくらいの規模で、どのような工法で行われるのかまだまったく明らかになっていないし、そのような基地をなぜ名護市が引き受けなければならないかについても市民や県民の納得のゆく説明は行われていない。このような中で市長が受け入れを表明したことは、極めて拙速であり遺憾である。社民党は市長に受け入れ表明を撤回することを求める。

2 名護市民に対する世論調査では、移設反対が59%で、賛成は23%である。名護市民投票結果(建設反対)についても、「尊重すべきだ」という答えが59%に及んでいる。この調査からも、名護市民は移設先を引き受けることに反対だということが明白である。
 市民の意思を無視し、既成事実だけを先行させるやり方では、沖縄県内に新たな混乱と対立の火種が残るだけである。

3 政府は、名護市の移設受け入れと引替えに、名護市や周辺地域の振興対策費として、今後10年間で総額1千億円を措置することを決めた。市長は、政府のこの措置について手放しで喜んでいると報じられている。しかし沖縄の振興策はそもそも基地問題とは切り離して行われるべきである。振興策と引替えに基地を誘致するようなことは、県民や市民の感情を考慮するならできることではない。沖縄県民の心を踏みにじるような市長の姿勢は断じて容認できない。

4 稲嶺県知事も岸本市長も、新しい基地の使用期限は15年とすることが、基地の整理縮小を求める県民感情から必要だとしている。しかし、この実現が極めて難しいことは県知事も市長もわかっているはずだ。この15年という期限が容認されなければ引き受けを拒否するのか、それとも姿勢だけなのか、市長は市民に明確にすべきだ。
 なお、代替基地の県内移設は沖縄の基地の整理縮小には決してつながらないことを、そして危険な普天間基地は無条件全面返還されなければならないことを社民党としては再度強調しておきたい。