2000年3月28日

年金改革関連法案の成立にあたって(談話)

社会民主党    
幹事長 渕上 貞雄

1,本日、年金改革関連法案が成立した。本法案は十分な審議時間もないまま、前国会に続き、衆参両院にわたり委員会で強行採決された。国民の年金制度に対する信頼と期待は小渕・自自公政権によって蹂躙されてしまった。

2,今次年金法案は、悪化する年金財政を給付削減のみによって回避しようとするその場しのぎの「財政対策」に過ぎず、年金額は1人あたり最大1800万円も減少する。また、負担が軽減される若年世代には「払い損」が生じるといわれている。

3,年金制度は「逃げ水」といわれるほど、見直しの度に国民に「痛み」を強いるものとなっており、消費不況の要因ともなっている。保険料の凍結及び基礎年金の国庫負担引き上げの先送りによって、将来の大幅な負担増は避けられず、次回再計算時においてもさらなる給付削減、負担増の提案は必至である。

4,前回改正時からの懸案であった未納・未加入問題、第3号被保険者等女性の年金問題、雇用と年金の接続や他の制度とのリンク等の取り組むべき課題の多くを先送りしている。また、基礎年金の国庫負担率引き上げは前回改正において全会一致で確認された国民への約束であり、先送りはあまりにも無責任である。バラマキとの批判をものともせず100兆円以上の財政出動を行いながら、「現下の厳しい財政事情」で年金に回す金がないというのはあまりにも説得力がない。

5,年金福祉事業団の廃止及び事務の承継に関する法律案及び年金資金運用基金法案は、自社さ連立政権当時の特殊法人改革に端を発するものである。本来的には賛成の立場の法案が年金法案と一括で強行採決された事実は甚だ遺憾である。

6,社民党は、年金、医療、介護・福祉、雇用等にわたる総合的かつ抜本的な社会保障構造改革を行い、誰もが納得できる負担、安心して暮らせる給付という年金のあるべき姿を実現するため、基礎年金の税方式化をはじめ、無年金障害者問題の速やかな解決、個人単位化や女性の年金権の拡大、厚生年金基金制度の抜本的改革などに全力で取り組む。