2001年12月7日

第153臨時国会の閉会にあたって(声明)

社会民主党

  1. 本日、72日間にわたった第153臨時国会が閉会した。
    今国会は、後世、わが国の歴史的分岐点となった国会であったと評されるに違いない。
    第一には、憲法違反が明らかな「テロ対策特措法」が強行成立させられたに止まらず、米国の戦争支援を目的に自衛隊が海外に派遣され、戦争に参加する、という事実をもって平和憲法が踏みにじられたからである。
    第二には、国の基本や憲法にかかわる重大問題が、審議を尽くされないまま、強引に突破がはかられるという民主主義の危機とも言うべき国会審議の空洞化が進められたことである。

  2. 本日の参議院本会議において、PKFの凍結解除や武器使用の基準緩和を内容とするPKO協力法改正案の採決が強行された。これも憲法に抵触することが明らかな重要問題が、テロ対策を隠れみのに、審議不十分のまま成立が強行されたことに強い憤りを感じるとともに厳重に抗議する。小泉首相自身が「憲法との間にはスキ間がある」と言わざるを得ない「テロ対策特措法」が70時間足らず、基本計画に基づく「自衛隊の派遣承認」についてはわずか10時間の審議でしかない。国の基本に関わり憲法に関する重大問題がこれほど粗略に扱われたことは前代未聞である。憲法を無視し、既存の法律すら乗り越えて、ひたすら自衛隊の海外派遣に奔走する小泉首相の対応は、議会制民主主義を否定し、法治国家であることすらかなぐり捨てるものと言わなければならない。

  3. 一方、「自衛隊の海外派遣」と「戦争参加」を最優先させる小泉内閣のもとで、経済は急速に悪化し、雇用情勢はますます深刻化している。小泉首相は、「聖域なき構造改革」という呪文を唱えるばかりで何ら有効な手立てをとろうとはしていない。雇用重視をうたった補正予算は、成立前から、2次補正が取りざたされる程度のものでしかない。今日の経済の悪化と雇用状況は小泉内閣の経済無策、失政によるものと言わなければならない。また、特殊法人改革や医療改革についても「名存実亡」、政府与党の密室談合によって決着する、という自民党型手法を一歩も出てはいない。小泉首相の「聖域なき構造改革」がまやかしに過ぎないことを露呈している。さらには、BSE問題をめぐる政府の対応も無責任の誹りを免れるものではない。

  4. 憲法順守義務に違反し、国民生活を窮状に追い込む小泉内閣の責任は極めて重大であり、内閣不信任に相当する。時期通常国会には、有事法制の提出が予定され、超党派議連による憲法改正に関する国民投票法案提出の動きもある。21世紀のわが国の進路を左右する正念場の国会となることは必定である。
    社民党は、小泉内閣のファッショ的タカ派体質や経済失政の責任を厳しく追及するとともに、広範な国民、市民に訴え平和憲法を守り、活かす闘い、そして民主主義を守る闘いに全力をあげる決意である。