2000年3月13日

政府は二期連続のマイナス成長を深刻に受けとめよ(談話)

社会民主党    
幹事長 渕上 貞雄

1,本日、経済企画庁は、個人消費の低迷による内需落ち込みから、1999年10−12月期のGDPが、実質で前期比1.4%減、年率換算で5.5%減となり、二期連続のマイナス成長となったことを発表した。これに対して、政府は、ボーナスの減少や輸出の増加などの一時的な要因が重なった結果であることを強調するとともに、企業の生産活動の好調さなどを理由に、1999年度の経済見通しの実質成長率0.6%の達成が可能であると強弁している。しかし、現時点で政府公約の達成が楽観できる状況にあるのかは微妙であり、景気判断を上方修正しようという政府の景気判断は、選挙前に景気回復基調を印象付けようとするリップサービスに過ぎない。政府は、庶民の肌で感じる景気判断を深刻に受けとめるべきである。

2,今後の自律的回復軌道に景気が乗る場合の大きな鍵は、雇用・賃金の上昇による消費回復である。しかし、民間需要の柱である個人消費に大きな影響を与える春闘は、賃上げが前年実績に届かない企業や賃下げの提案すら続出し、大変厳しい状況にある。「好調」といわれる企業の活動にしても、その背景には相次ぐリストラによる労賃の実質的切り下げがある。また、今回は端境期とはいえ、あれだけ追加した公共投資による景気下支え効果も不十分である。公共事業自体の経済波及効果の低下、もはや浪費的でむだな支出になっている公共投資に依存する景気回復策の限界があらわれているものといえる。
「景気対策」と銘打った2000年度予算案の効果があらわれるのはこれからであるが、老後、病気、失業といった国民の先行き不安に対して、生活の安定や福祉の充実、雇用確保のための具体策には乏しい。しかも財源を国債の大量発行に依存していることから、将来の財政赤字の負担が、ますます国民の消費を落ち込ませる要因ともなっている。

3,100万人に上ろうとする非自発的失業者、10万人の自己破産者、中でも98年は自殺者3万人で、男性の平均寿命が0.03歳低下したところに不況による中高年世代の深刻さがあらわれている。政府は、このことを真摯に受けとめ、雇用不安や生活不安、将来に対する先行き不安を解消することによって、真の景気回復の展望を開くべきである。
 今、必要な対策とは、温もりある政策で様々な不安を解消し、未来を見据え、ほっとで健全な活力を作り出していくことである。社民党は、消費税の逆進性緩和策としての「飲食料品戻し金制度」の創設や、雇用や福祉・介護、環境分野の重視、オールバリアフリー化の推進など、「先行きの生活不安」解消のために国民生活面での課題に真摯に応えた、「暮らしの息遣い」が伝わる「ほっとする」経済対策に全力を上げる。