2001年10月16日
社会民主党 党首
土井 たか子
ただいま、テロ対策特別措置法がわが党をはじめとした野党各党が質疑続行を求めたにもかかわらず、特別委員会採決を強行したことに厳しく抗議する。これほど重大法案が、わずか32時間ばかりの審議で打ち切られることは許されない。小泉内閣の特別委員会における答弁は、およそ国民の安心と信頼をゆだねることの出来ない詭弁やすりかえに終始したものである。
10月8日未明に、米英のアフガニスタンに対しての軍事行動が始まると、この特別委員会で、「異例中の異例」(与党幹部)を合言葉にした審議が始まった。戦後の国会において営々と積み上げられてきた「専守防衛」を逸脱し、「PKO5原則」にうたわれた原則も放棄し、自衛隊を現に戦争が行われている地域に派遣するという特別法案が、21世紀の日本のあり方に決定的な重要な事柄であることは論を待たない。
9月11日、アメリカの同時多発テロを許さない国際世論は、必ずしも米英の軍事行動を支持している訳ではない。日々、空爆が続きアフガニスタンの民間人が被害を受け、多数の死傷者を出していることは見逃せない事実である。日本が米英の軍事行動を支持し、これに自衛隊派遣をもって加わる構図をつくるのであれば、アフガニスタンに限定されず世界中を戦場にして長期にわたって続くかもしれない戦争に、日本は当事者として加わることになる。「テロ対策」という大網で一括りにして、憲法違反の自衛隊派遣を既成事実化し、固く禁じられている武力行使への道をひらき、また過去に廃案となった国家秘密法と酷似している自衛隊法改正案を脈絡なく加える等、政府・与党の異常な暴走はとめどのないものとなっている。
社会民主党は、米英の軍事行動の中止を求めるとともに、日本政府が平和憲法を遵守して、非軍事的手段に限定した人道支援と外交努力に徹することを、強く求める。テロ事件の究明と解決は国際司法の枠組みによるべきであり、アフガニスタン及び周辺国に自衛隊を派遣すべきでない。また、日本政府は人道的支援に徹するという姿勢をいっそう旗幟鮮明にすべきである。「アフガニスタン復興のための基金」をAPECで提案し、日本が率先して拠出を表明することや、流出するアフガニスタン難民を積極的に受け入れるなど、非軍事的手段で全力を尽くすことができる。
政府・与党の暴挙に対し、社会民主党は国民・市民と共に、これを許さないたたかいに全力をあげることをここに表明する。