2000年11月30日
船舶検査活動に関する法律案の成立にあたって(談話)
社会民主党全国連合
幹事長 渕上 貞雄
- 本日、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案が成立した。この法案の成立がなぜ急がれなければならないのかまったく理解できない。本年六月の朝鮮半島における歴史的な南北首脳会談以降の北東アジアの状況に逆行し、新たな緊張を生み出すだけであり、社民党としては容認できない。
- この北東アジアにおける変化は、朝鮮半島有事を想定した日米安保条約や周辺事態安全確保法の根拠を本質的に失わせるものである。存在根拠が喪失している条約や、法律に基づいて成立したこの船舶検査活動法案は見当違いも甚だしく時代錯誤そのものである。
- しかも法案そのものが重大な危険性を内包している。
法案は、国連安保理の決議にすら基づくことのない「船舶検査活動」を容認しており日米の恣意的判断に道を開くものとなっている。また武器使用の規定も極めて抽象的であり、現場が拡大して解釈する余地を与えることになる。憲法が禁ずる武力行使に発展する危険性は十分ある。
さらに、自衛隊自らが行う船舶検査活動が後方地域支援などではなく、前戦における活動そのものではないかという懸念がある。周辺事態法では自衛隊の活動は米軍の「広報地域支援」という形で限定されていたが、船舶検査活動法案ではこの制約が取り払われている。
- 日本が今行うべきは、北東アジアで動きだしている緊張緩和に水を差すことではなく、冷戦終結や朝鮮半島の緊張緩和という歴史的環境変化を冷静に受け止めることであり、アジア諸国との信頼醸成に努めつつ、ねばり強い多国間対話を通して、アジアに協調的な安全保障の枠組みをつくることである。