2001年1月6日

新中央省庁体制スタートに当たって(談話)

社会民主党     
幹事長 渕上 貞雄

  1. 本日、1府12省庁の新中央省庁体制がスタートした。社会民主党は、与党行政改革協議会において、国民生活と現場労働者重視の立場から行政改革会議中間報告の問題点の是正に取り組み、最終報告では、環境省の設置、男女共同参画行政の明確化、郵政3事業の分離民営化の阻止、防衛庁の省昇格の阻止などを実現した。パブリックコメントや政策評価の導入など行政の質的な改革を含め、これらの内容が着実に遂行されるよう期待したい。

  2. 本来、分権・自治を推進し、中央省庁の行政自体の見直しを行い、そのことを通じてあるべき省庁体制を確定するという進め方であるべきであった。しかし、今回の中央省庁の再編は、大くくり再編が前提とされ、はじめから1府12省庁という器にどう当てはめるかという組織・機構いじりが先行するきらいがあり、結果として巨大省の出現をもたらすことになった。特に、公共事業関係予算の8割を占める国土交通省は、総合交通政策の遂行など統合のメリットの発揮が期待される一方、省内の「縦割り」が変わらなければ巨大利権官庁ができるだけになりかねない。しかも巨大省への批判をかわす意味もあって、ブロックごとの地方出先機関として地方整備局が設置されたが、出先機関は議会のコントロールもなく、かえって国の力を強める恐れもないとはいえない。

  3. また、鵺のようなマンモス官庁=総務省は、内閣及び内閣総理大臣を補佐・支援する体制の一環としても位置づけられており、自治体の立場を反映・代弁するのではなく、中央による自治体管理・統制の面が強くなることが危惧され、事実上の内務省復活につながる恐れもある。

  4. 「政治主導」の一環として創設される副大臣や大臣政務官は、族議員の量産、利権政治の拡大につながるといった懸念がぬぐいきれない。今回制定される「大臣規範」も従来の申し合わせ程度の内容であり、大臣と下院議員の立場の峻別など厳しい規制がなされているイギリスの大臣規範にはほど遠いものにすぎない。

  5. 今必要な行政改革は、地方分権の推進・情報公開の徹底・公務員倫理の確立等を前提に、明治以来の中央集権・官主導型の「お上の行政」を主権在民にふさわしい開かれた「国民本位の行政」とすることである。単なる経費の節減、機構いじりや人減らしとしてはならない。最近生じた雪印問題の背景には、価格破壊の行き過ぎやコスト削減に伴う安全性の軽視の問題があり、政府の進める規制緩和・行革路線の徹底の帰結の一つの証明ともいえる。橋本6大構造改革の根底には、世界的な大競争時代に日本が生き残るための体制整備としての国家機構の再編・強化を目指す側面もあった。社民党は、今回の中央省庁再編の行方と、森政権の進める特殊法人等改革や公務員制度改革、内閣機能強化の内実を、国民生活の向上と民主的で公正な行政の実現の観点からきちんと監視・チェックしていく。