2001年10月18日

テロ対策特措法案の衆議院通過について(声明)

社会民主党

  1. 本日、衆議院本会議において、テロ対策特別措置法案、自衛隊法一部改正案、海上保安庁法一部改正案が、自民、公明、保守3党の賛成によって衆議院を通過した。テロ対策特措法は、小泉首相自らが、憲法との関係について、「確かにあいまいさは認める。法律的な一貫性、明確性を問われれば答弁に窮してしまう」と答弁せざるを得ないほど矛盾に満ちた法案であり、わが国のこれまでの安保政策を根底から覆し、憲法秩序を大きく逸脱するものである。このような重要法案を、テロ対策を理由に、「自衛隊の派遣まずありき」を至上命題として、わずか33時間ばかりの審議をもって打切り、本会議採決に持ち込むことは、まさに議会制民主主義の自殺行為といわなければならず、満身の怒りを禁じえない。社民党は、政府与党の暴挙に断固抗議し、弾劾するものである。

  2. テロ対策特措法案は、なによりもまず自衛隊を派遣するために、憲法の制約や既存の法体系の枠組みを乗り越えることを承知の上で出されたものであることは疑いない。
     集団的自衛権との関係や武器、弾薬の輸送、武器使用基準、自衛隊の派遣地域など、重要な問題についてはほとんど議論が積み残されたままであり、小泉首相の答弁は詭弁やすり替えに終始するばかりであった。国の進路を左右し、憲法に抵触することが明らかな重要法案を、国権の最高機関たる国会の議論を軽視し、数を頼んでしゃにむに押し通そうとする政府与党のやり方は、法治国家であることすら放棄するものと断ぜざるを得ない。

  3. 社民党は、いかなる理由があろうともテロには反対である。同時に自衛隊の海外派兵にも断固反対する。テロの根絶とその原因の除去のために、わが国は平和憲法を順守し、非軍事的手段に徹した人道支援と外交努力を行うべきである。米英に加担して自衛隊を海外に派遣することは、わが国がこれまで培ってきた中東諸国との友好関係を大きく損ない国益に反することにもなる。
     参議院での徹底審議を求めるとともに、院内外の闘いを強化し、他の野党とも協力してテロ対策特措法案などの成立阻止に全力をあげる。