2000年5月31日

特定放射性廃棄物最終処分法の成立について(談話)

社会民主党     
幹事長 渕上 貞雄

 本日、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案」が成立した。原子力発電所で発生した使用済み核燃料を再処理したあとに残る「高レベル放射性廃棄物」の処分に関わる法律で、処分主体の設立、費用の拠出制度など最終処分の枠組みを定めたものである。処分後も千年、万年の単位で安全性を確保しなくてはならない危険な核のゴミの処分方法を、短期間の形式的な国会審議だけで拙速に成立させてしまうことは極めて疑問であり、本法の成立は誠に遺憾である。

 本法は原発の使用済核燃料の「再処理」を前提としているが、高速増殖炉実用化がとん挫し核燃料サイクル計画が破綻しつつあることによって、再処理して取り出したプルトニウムは使い道のないままため込まれているのが現状である。国際的な批判も強く、危険な廃棄物を増やすだけの「再処理」の是非がまさに見直しを迫られつつあるなかで、「再処理」を前提とした処分を定めるべきではない。

 また、本法では最終処分は地層処分が唯一の方法とされているが、地層処分が安全に実施できるのか技術的に実証されておらず、安全性が疑問視されている。そのような状況で地層処分を唯一の処分法として法制化することはまったく無謀である。

 高レベル放射性廃棄物を「特定放射性廃棄物」と言い換えて問題を矮小化していることからもわかるように、深い思慮のない行き当たりばったりの立法であると断ぜざるを得ない。安全基準の議論すら行わないまま軽々に枠組みを定め、詳細をすべて通算大臣の判断にゆだねていることにも大きな危惧を抱くものである。

 本法案の本当の目的は、青森県六ヶ所村の再処理工場建設と高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵を推進し、各地の原子力発電所で行き場のなくなった使用済核燃料を青森に受け入れさせることにあるともいわれている。日本の原発が「トイレのないマンション」と揶揄されてきたように、廃棄物対策を置き去りに進められてきた原子力政策のツケを先送りし、漫然と廃棄物を増やし続けようとするものである。

 私たちは人間社会と根本的に相容れない「核のゴミ」をここまで増やしてしまった責任を重く受け止め、一刻も早くエネルギー政策を転換させ、脱原子力の時代を実現するために全力をあげる決意である。

以上