1999年10月1日

内閣総理大臣
小渕恵三殿

社会民主党全国連合
党首 土井 たか子

東海村核燃工場における臨界事故について

 

 昨日、1999年9月30日、午前10時35分頃、茨城県東海村の株式会社ジェー・シー・オー(本社東京都港区)東海事業所の転換試験棟において発生した臨界事故とそれに引き続く放射能漏洩につき、以下の措置を迅速に実行するよう、ここに申し入れる。

 可能な限り正確にして敏速な情報収集を行い、周辺住民と現場労働者に対する安全を何よりも優先して確保し、これ以上に事故が拡大しないよう全力を尽くすべきである。

 また、国民に対する情報公開を徹底し、国民の原子力発電に対する不信と不安を取り除くべく努力しなければならない。これらの迅速の措置を実行しつつ、以下の諸項目にわたる原因究明と再発防止策を実行することが必要である。

1:被ばく者の救済と周辺住民の安全の徹底
 被ばくした作業員と現場での救出にあたった消防隊員などを含む39名の方々の治療を徹底するとともに、10Km以内の住民に対する放射能検査と健康管理を行うこと。

2:中立的な調査対策機関の設置
 事故原因の究明と徹底した情報公開、さらに今後への敏速な対策を確立するため、既存の組織または機関のほかに、今回の事故を対象とし、政府、関連企業、そして市民代表の三者からなる特別な「調査対策機関」を設置すべきである。

3:監督指導態勢の抜本的な見直し
 今回の事故によって、原子力安全委員会、科学技術庁、資源エネルギー庁、そして通産省などの監督指導官庁の監督指導態勢の不完全さが明らかとなった。これを見直して改善すること。

4:周辺自治体との安全協議態勢の見直し
 茨城県原子力安全協定が結ばれているにもかかわらず、これを実質的に実行しているのは茨城県内原子力施設13施設の内、大規模なもの3施設のみで、残り10施設についてはなんらの取り決めも行われていなかったとの指摘がある。実に信じがたい事態であるが、敏速にこれらを見直すと同時に、全国類似施設7カ所についても、早急に同様な措置を取ること。

5:原子力行政の抜本的な見直し
 今回の事故を重大な教訓としつつ、より広範な人々が原子力発電に関する認識を確立するため、中央及び原子力施設を持つ各都道府県ごとに、市民、行政、そして企業の三者からなる円卓会議の創設を徹底して、公開性と責任の徹底を図ること。
 社会民主党全国連合は、対策委員会を設置して、政府に協力するとともに現場調査を含む住民の安全についての努力を継続していく。