1999.4.26

党声明

新ガイドライン関連法案衆議院特別委員会の採決にあたって

社会民主党

 

1.新ガイドライン関連法案の廃案を求める
 関連法案は「周辺事態」の地理的概念が不明であり、日本の平和と安全、極東における国際平和及び安全の維持」という安保条約の枠組みを越えるものである。また自衛隊の活動も、憲法が禁ずる集団的自衛権の行使につながることは明らかである。政府のなし崩し的な安保改定、憲法改悪策動は断じで認められない。社民党は関連法案には反対であり廃案・撤回を引き続き求めていく。

2.議会ルールの破壊は容認できない
 この関連法案については、二百近くにも及ぶ自治体から反対や慎重審議の意見書が寄せられており、慎重な対応が求められていたが、政府・与党は小渕総理訪米前の衆議院通過にこだわった。わが党の厳しい追及によって法案の危険性、違憲性もますます鮮明になっていたにもかかわらず、十分な審議を尽くすことなく、一部野党との駆け引きだけで採決を図るやり方は、議会制民主主義の原則を踏みにじるものであり断じて容認できない。

3.危険な内容を含む修正は認められない
 特別委員会には、自民・自由・公明の合意による修正案が提出された。しかしながら法案提案者である与党間ですら修正のための協議を行なわねばならず、原案の一部削除を余儀なくされるような法案は、そもそも提出しなおすのが筋である。修正案の内容は、(1)自衛隊の活動に限って国会承認とする、(2)「安保の効果的な運用に寄与する」ものとして安保条約との関連を明確化する、(3)「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」との例示を法案の目的に加える、(4)船舶検査については削除し今国会中に新たな法律をつくる、(5)後方地域支援における武器使用の規定等である。これらの修正内容は新ガイドライン関連法案の本質をなんら変えるものではない。逆に自衛隊の武器使用の範囲を拡大し、集団的自衛権の行使に道を開くなど、原案よりもさらに危険な内容となっている。民主党の対応にも理解に苦しむ。党は修正案には反対である。

4.明らかになった問題点
 衆議院特別委員会の審議において、党は徹底した追及を行ない法案の問題点を浮き彫りにしてきた。第1は、自衛隊の行なう後方地域支援(米軍支援)が国際的常織では後方支援(兵站)であり、戦争行為の一部であること。すなわち憲法が禁止する集団自衛権の行使に他ならないことを明らかにしたことである。第2は、遭難者救助や船舶検査活動における自衛隊の武器使用が、武力による威嚇や武力の行使とならない保証や防御のための武器使用にとどまるという保証はどこにもないことを明確にしたことである。第3は、「国以外の者の協力」は、補助金や許認可権で中央省庁に縛られている自治体や民間にとっては実質的強制であり、自治権の侵害にもつながるものであることを鮮明にしたことである。第4は、武器・弾薬や兵員輪送に協力した民間航空機がシカゴ条約の対象外となり安全が保障されなくなることや、旅客機がテロ、ハイジャックにあう危険が大きいことをはっきりさせたことである、現場で働く交通・運輸労働者の懸念はますます深まっている。第5は、関連法案の実施の手続きや施行に関する事項が、すべて政令に委ねられており、立法権の侵害につながる欠陥法案であることも明らかにしたことである。審議が保証されれば、法案の問題点は一層明らかになるものと考える。

5.平和外交の展開を
 アジア・太平洋の平和と安定を確立するには、新ガイドライン関連法案のような手法ではなく、あくまで平和外交を通じた努力こそが重要である。日本の果たすべき役割は、平和憲法の理念に立って、アジアの人々との真の友好関係を築いていくことである。社民党はこのような立場から「平和のためのガイドライン」を策定する。