2001年3月2日

2001年度予算案衆院通過にあたって(談話)

社会民主党幹事長
 渕上貞男

  1. 本日2001年度予算案が衆議院を通過した。しかし予算案についての審議は極めて不十分で、審議が尽くされたわけではない。野党提出の組替え案についても審議はまったく行われていない。
     しかも与党の予算委員会の審議の進め方も問題だ。与党は、野党が求めた額賀前経済企画庁長官の証人喚問を拒否し続けただけでなく、村上前参議院議員の衆議院における証人喚問も拒否した。臭いものには蓋をし、身内をかばい続けるという自民党の体質こそが、自民党内に汚職が絶えない原因である。

  2. 社民党は政府予算案に反対したが、それは政府案が、国民の期待するものとあまりにギャップが大きすぎるからだ。たとえば焦点になっている機密費だが、政府は野党四党が提出した大幅減額案を頑なに拒否した。これは国民にしても、とても理解できないだろう。政府与党に対する国民の批判は、今後さらに高まるに違いない。

  3. 政府予算案では、財政の健全化に着手するのは無理だ。国の財政状況が厳しく、債務も限界に達しているというのはもはや共通の認識だ。そこへもってきて政府の予算では3000億円もの公共事業予備費が計上されている。七月の参議院選挙目当てなのだろうが、こういう政治的思惑を優先させるようでは、政府自ら、財政健全化を放棄しますと宣言しているようなものだ。

  4. 政府の予算は’ばらまき’に終始している。一つは公共事業予算のばらまき、二つは児童手当の拡充に名を借りたばらまきだ。野党四党が組替え案で示したように、新幹線、空港、ダム、港湾・海岸整備事業などは大幅に削減できる。児童手当を拡充するというのであれば、抜本的な見直しにまで踏み込むべきだ。政府案では財源手当てがない上に、支給対象年齢を超える児童のいる低所得世帯との不公平を拡大するだけだ。

  5. 防衛関係費は、朝鮮半島における南北和解の進展など、北東アジアの状況変化を踏まえるなら大幅に削減できる。いまや近隣諸国の軍事力と比較して、日本の防衛力もなんとかしようという発想からは抜け出すべきだ。日本がアジアの緊張緩和を積極的に創り出すというくらいの心構えが必要ではないか。空中給油機の調査費は社民党としては認められない。

  6. 与野党の違いを超えて迅速に打たなければならない対策がある。有珠山噴火、三宅島噴火、有明海のノリ被害など自然災害や人災、JR新大久保駅でのホーム転落事故、アメリカ軍潜水艦による「えひめ丸」衝突・沈没事故などを踏まえ、被災者生活再建支援策の大幅拡充、主要駅へのホーム転落事故防止設備の整備、世界最高水準の海難救助技術を備えるための調査・研究費などを緊急に措置することだ。野党は組替え動議でこれらのことを提案した。政府与党も頑なに拒否したりせず、打つべき対策はきちんと打つべきだ。

  7. 予算案の審議は参議院に移るが、社民党は引き続き野党四党との結束を大切にしながら、政府与党と徹底的に論戦を展開し、国民の期待にそえるよう全力をあげたい。