2000年3月17日

平成12年度予算成立にあたって(談話)

社会民主党幹事長
渕上 貞雄

1,本日、平成12年度予算案が成立した。残念ながら政府予算案では、国民の期待には応えられない。先日(3月15日)、経済企画庁が発表した国民所得統計速報でも、国内総生産(GDP)が前年同期に比べ1.4%、年率換算では5.5%減少し、二期連続のマイナス成長となったことが明らかになった。その最大の要因が個人消費の低迷にあることもはっきりしている。消費を活性化し、経済を自律的な回復軌道に乗せるためには、ハコもの、道路、橋、ダム建設といった公共事業ではなく、生活や福祉、環境、雇用、情報通信などを重視した予算にすべきだ。

2,今年度予算か32兆6100億円(全予算85兆円の38.4%)もの国債発行によって賄われる。また予算総額のうち22兆円は借金返済である。これを家庭に例えるなら、月85万円の生活をするために給料52万円のサラリーマンが、32万円の借金をして22万円のローンを返済しながら生活しているようなもので、このような生活が続くはずがない。もはや借金漬けの財政は限界にきており、適切で均衡のとれた公債政策を実行すべきだ。社民党はあらためて、財政立て直しに向けた、幅広い国民各界各層への議論を呼び掛ける。

3,国民が先行き不安を感じている年金・介護・医療、子育てに対する配慮がないのも極めて問題である。医療保険制度は、抜本改革の方策を示す必要があるにも関わらずこれを示さず、負担だけを国民に押しつけるもんとなっている。年金制度は給付水準を引き下げたうえ、国民への公約である基礎年金の国庫負担引き上げも見送られた。児童手当の拡充も現行制度では限界があり、年少扶養控除の停止を含め抜本的な見直しが必要だ。

4,防衛関係費は、社民党が与党時代の98年以降、2年連続して対前年度マイナスだったが、自・自・公連立政権となった途端に、対前年度0.1%プラスとなった。社民党としては、この流れが定着していくことだけは阻止していきたい。

5,この政府予算で経済が自立的回復軌道に乗ると到底思えないし、公共事業が息切れをした時には、厳しい財政下でまた補正を組む事態にならないという保証もない。この予算の問題だけでなく、警察や防衛庁の不祥事が続き、議席数では圧倒的多数を占める小渕政権もいまや崖っ縁に立たされている。社民党は成立した予算が、国民の願いとは相反するものであることを訴えるとともに、後を絶たない不祥事は小渕政権の体質そのものであり、解決する能力などはないことを国民の前に明らかにしながら、小渕政権を解散総選挙に追い込んでいく。