2001年6月1日

在韓被爆者訴訟の大阪地裁判決について(談話)

社会民主党 幹事長
渕上 貞雄

一 本日、大阪地方裁判所は、治療後帰国の韓国人に被爆者手当て支給を命ずる判決を言い渡した。判決では、被爆者健康手帳の交付を受けた原告に対して、帰国を理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当ての支給をうち切ったのは、援護法の根本的な趣旨の目的に反する扱いで「憲法違反のおそれもある」とした。国と大阪府は、この判決を重く受け止め、誠実に対応すべきである。

一 今回の判決は、人道的立場を明確にした、画期的な内容と言える。「被爆者援護法は、被爆者が現在置かれている悲惨な状況に鑑み、人道的な見地から被爆者の救済を図ることを目的としたものであり、外国にいるからといって適用しないとの解釈は人道的見地に反する結果を招来する」と断じた。
 また、国の全面敗訴となり、行政裁量で行われてきたことを厳しく糾弾した。とりわけ(1)「援護法では被爆者が地位を失うことの明文規定はなく、厚生省通達という解釈のみによって行うことは許されない」、(2)「そのような解釈を許容するためには合理的な根拠が必要である」、(3)「援護法は、社会保障と国家補償を併有する特殊な立法」として、国家補償という性格を認めた。

一 原告らをはじめとする被爆者は高齢化しており、人道的な立場からも、国はこの判決に対して控訴すべきではない。国の主張は全面的に否定されたのであり、判決に従い、在外被爆者にも被爆者援護法を直ちに適用することを、社民党は厳しく求めていくとともに、今後とも全面解決に向け全力を挙げる決意である。

以上