2000年3月16日

陸上自衛隊における銃刀法違反事件について(談話)

社会民主党    
幹事長 渕上貞雄

1、3月13日午前、陸上自衛隊富士学校総合研究開発副部長・秀島裕展一等陸佐が陸上自衛隊東部方面警務隊に逮捕された。東富士演習場(静岡県御殿場市)で、陸上自衛隊所有の小銃を民間人の知人に使用させていた銃刀法違反の疑いによるものである。秀島一等陸佐は、94年11月当時、陸上自衛隊第一空挺団普通科群長として850人を指揮する責任ある立場にありながら、民間人3人に実弾を入れた八九式五・五六小銃を貸し、射撃をさせたという。容疑が事実であるとすれば、重大な違法行為であり、断じて許すことはできない。刑事責任が追及されることは当然だが、自衛隊としても厳正な処分を行なうべきである。

2、これ以外にも秀島容疑者が、訓練の合間に友人から猟銃用のライフル銃を借り、無許可で射撃を行なっていたことも明らかになっている。たとえ自衛官であっても、ライフル銃を使う場合には、公安委員会の許可を得なくてはならず明かな違法行為であるが、すでに公訴時効(5年)となっているため立件できなかった。他にも余罪がある可能性があり厳しく迫及されなくてはならない。

3、さらに秀島一等陸佐が無許可でライフル銃を射撃していたことを当時の上層部が知りながら、組織的に事件を隠蔽していた疑いが強まっている。秀島一等陸佐が猟銃を撃っていたことは、別の隊員が目撃し正式な報告書や内部文書によって当時の陸自東部方面総監部や陸上幕僚監部に報告されていたとのことだ。東部方面総幹部はこれを刑事事件として立件せず、内部処分である「訓戒」にとどめたが、身内を守るために違法行為を見過ごしたとすれば、犯罪の幇助にもあたる許し難い脱法行為である。早急に事実関係を解明したうえ、厳正に対処する必要がある。

4、この数年来、警察や防衛調達に絡む不祥事が続出し国民的な不信が高まっている。警察や自衛隊は、国民の平和と安全を守るために大きな実力を与えられているのであり、最も厳しく自らを律し法律を遵守する責務がある。しかしこれらの実力組織特有の規律の厳しい軍隊型の組織構造のなかでは自浄作用が働きづらいと考えられ、事態は深刻である。今回の事件以外にも、自衛隊内部での「いじめ」・「いびり」によると考えられる自殺者が発生している。すでに自衛隊は警察同様に組織管理能力を喪失し、国民の信頼に応え得ない実態といわざるを得ない。事件の再発を防ぐためには、単なる「網紀粛正」ではまったく不十分であり、組織のあり方を根本的に見直し第三者によるチェック機構をつくるべきである。

以上