2000年6月20日

社民党 女性政策の重点課題

社会民主党   
党首 土井たか子

1,女性議員を増やす選挙制度へ

 今衆院選挙の候補者総数は1404人、うち202人が女性候補(14%)である。1946年に婦人参政権が認められて以来、その数は最も多く、女性の政治参加への機運が高まっている。しかし、現行の小選挙区比例代表並立制は、小選挙区で1人しか選ばれず、比例部分は各政党の裁量にまかされ、民意が反映しにくいうえに、女性の政治参画を促進する選挙制度となっていない。
 北欧諸国はクォーター(割り当て)制度を導入し、女性議員を増やしてきた。今年、フランスは各級レベルの選挙における比例リストを男女同数の候補者とする制度(パリテ)を成立した。韓国は国政選挙における比例代表の3割を女性候補とすることを各政党に義務付けた。各国は大胆な取り組みを行っている。
 社民党は、今回、女性候補を積極的に擁立し、候補者総数76人のうち22人(約3割)が女性である。国会に議席をもつ政党のなかで、最も女性候補の割合が高い。衆参院選挙の政党比例リストを女性と男性交互にすること、候補者の一定割合を女性とすること(クォーター制度の導入)など、社民党は女性議員を増やす選挙制度に改革する。

2,パート・派遣労働者の権利を保障する

 男女雇用機会均等法が改正され、雇用のすべてのステージで女性差別が禁止された。しかし不況と規制緩和のなかで、女性の正規雇用は減り、パート・派遣労働者など不安定雇用が急増している。しかも労働時間、労働内容が正規雇用とほぼ同じであるにもかかわらず、低い労働条件は改善されていない。一方的な解雇を受けるケースも多発している。男女の賃金格差は拡大し、パートタイム労働者を含めると女性の賃金は男性の52%に過ぎない。
 現行のパートタイム労働法は、パート労働者の権利を保障するものとなっていない。社民党は、パート・派遣労働者など非正規雇用労働者の権利保障を確立するために、均等待遇の原則や正規雇用への転換権の確立、一方的な雇用の規制、社会保険・雇用保険制度の拡充など、法制度を改正する。

3,女性の年金権を確立する

 現在の年金制度は、結婚退職、離婚、夫がサラリーマンか自営業か、など生き方や世帯形成の違いで、女性の年金の負担と給付に格差が生じている。とくにサラリーマンの妻(第3号被保険者)は保険料を免除され、その財源が独身や共働き女性も含む勤め人全体の保険料でまかなわれるため、不公平であるとの指摘がある。また、男女の賃金格差を反映して、女性の年金受給額は非常に低く、保険料が足りず無年金車も生まれている。
 一方、税制面で、配偶者控除、配偶者特別控除は、企業が女性を低賃金で雇う根拠となるばかりか、女性の就労意欲をも阻害している。
 社民党は、年金・税制度を、現在の世帯単位から個人単位へ転換し、一人ひとりが自立して生活できるよう公平な制度に変える。

4,女性の視点から憲法改悪に反対

 日本の女性は、日本国憲法によって男女平等に基づく基本的人権と自由を獲得し、憲法に守られて前進してきた。先日、ニューヨークで国連「女性2000年会議」が開かれた。女性たちは、一連の世界女性会議の成果である「女性差別撤廃条約」「北京行動要項」をテコとして、旧「家」制度の残滓である性別役割分業意識をなくし、男女平等の実現を目指してきた。
 しかし、森総理大臣の「日本の国、まさに天皇を中心にしている神の国」発言や、自民党・保守党などが選挙広報で繰り返す「家族」という言葉には古い家族観がにじみ出ている。また、高齢者とその家族を社会が支え合う方向へと進むはずだった介護保険制度を、与党が「子が親を看るのは日本の美風」という古い家族観を持ち出し、ねじ曲げてしまった。
 こうした動きに、危機感を抱く女性たちが集まって「憲法改悪に反対し社民党を応援する女性の会」が発足した。社民党は、平和、人権、男女平等を掲げる党として、改めて憲法改悪に反対する。

以上