【談話】2026年度補正予算の成立を受けて
2026年6月8日 社会民主党全国連合幹事長 ラサール石井
6月3日に閣議決定された補正予算案は、衆参1日ずつという極めて短時間で審議が行われた。6月5日の夕刻に参議院本会議が行われ、社民党は以下の理由から反対したが、賛成多数で成立となった。
第一に、審議時間は異例の短さであった。補正予算案に関する予算委員会での実質審議の日数は、岸田政権以降の過去5年、衆議院4日・参議院3日の計7日を確保するのが通例だった。野党側は以前から補正予算を編成すべきと求めていたため、政府が早期に編成・提出をすれば十分な審議時間を確保できたはずである。とりわけ、今回は予算の大部分を予備費が占めるという異例の財政スキームであり、審議の中で出来る限り使途を明確化させる必要があった。ほとんどが予備費で占められた予算案を、たった2日の審議で成立させることは、財政民主主義に背く国会軽視の横暴だと言わざるを得ない。
第二に、巨大な予算のほとんどを予備費が占めるという、極めて不透明な財政スキームである。本補正予算の規模は3兆1135億円であるが、歳出のうち使途が明確にされているのは重点支援地方交付金(特別高圧電力やLPガスの利用者支援など、地域の実情に応じた支援の財源措置)の1,000億円のみで、残り3兆135億円は予備費(一般予備費復元のための5,135億円と、中東情勢等対応予備費の2兆5000億円)である。予備費は、憲法第87条において「予見し難い予算の不足に充てる」と定められているが、長期化が見込まれる中東情勢への対応が「予見し難い」と言えるかどうかには疑問が残る。予備費は内閣に支出のフリーハンドを与えるものであり、その積み上げには極めて謙抑的であるべきである。
コロナ時以降、財政規律が弛緩し、数兆円規模の予備費が積まれることが珍しくなくなったが、コロナ以前の一般会計予備費は3,000億円前後を推移しており、リーマンショックや東日本大震災発生時の目的を限った予備費も1兆円内に抑えられていた。3兆円もの巨額の予備費を積むことを常態化させてはならない。
第三に、予備費の積み上げでは、具体的にどのような政策が行われるのか、全く判然としない。社民党の自治体議員からは、原料の入手が困難になり、倒産・廃業の瀬戸際に追い込まれる事業者が多々あることから、コロナ時のような持続化給付金、緊急小口資金等の特例貸付、雇用調整助成金の特例を求める声が上がっていた。しかし、政府はかたくなに予備費の使途の明確化を拒み、その積算根拠すら示さなかった。2022年度・23年度に設けられたウクライナ情勢経済緊急対応予備費については、それぞれ1兆円が計上された(23年度は補正予算で5000億円に減額)ものの、全く使用されなかった。3兆円の予備費が、中東情勢により窮地に追い込まれた生活者・小規模事業者を救済するために使用される保証は全くない。
中東情勢への緊急的な対応が求められることは十分理解しているが、以上のような理由から、今回の補正予算には賛成できない。社民党は、憲法に定められた財政規律・財政民主主義、そして人々のニーズに応えた予算の実現に全力をあげ、国民生活の安定に向け力を尽くしていく決意である。