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森喜朗元首相(衆院議員)の差別発言についての記者会見(7月1日)要旨

 社民党は6月27日に太田誠一衆院議員の「レイプ事件」を擁護するかのような発言に抗議しましたが、本日、森喜朗元首相(衆院議員)が6月26日に鹿児島市内で開かれた討論会で行なった女性蔑視・差別発言について、社民党は発言の撤回及び謝罪を求める抗議文を森議員の議員会館事務所で秘書の方に手渡し、その後、衆院議員会館内で記者会見を開きました。以下は、記者会見の要旨です。

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山内惠子女性委員長(衆院議員)

 6月26日に鹿児島市内で開かれた全国私立幼稚園連合会の討論会で、太田誠一衆議院議員がレイプ事件について最悪な発言をしたということで、超党派並びに社民党としての抗議を行ないました。今回は、社民党国会議員一同ということで森喜朗衆議院議員の発言について、(議員会館の)部屋まで行って抗議文を手渡してきました。急なことでしたが、(森議員の)発言は女性の役割を子育てに限定する差別発言であると抗議し、発言の撤回及び謝罪を求めました。問題はいろいろありますが、この社会で子どもがいきいきと育ってほしいとするならば、政府がすべき措置はあるはずです。女性差別撤廃条約を(日本政府が)批准している現状についても知っていなければならないはずです。元首相の発言として、あまりにもひどい。(森議員が)在室しているときに抗議ができなかったことは残念ですが、今週中に回答をいただきたいと要請してまいりました。


福島瑞穂幹事長

 太田議員の発言に対して、女性議員懇談会の有志および社民党で抗議し、太田議員は(発言について)謝罪、撤回をしましたが、この森議員の発言もそれに勝るとも劣らず、ひどいものだと思います。これは子どもを産まない、産めない女性に対して、ひいては男性にも対して無価値である、福祉を求める資格がないという発言ですから、あまりにひどい。女性の役割を、子どもを産むことに限定している、とんでもない発言です。
 おりしも本日、少子化対策基本法案が参議院で審議入りとなっています。法案と発言は別でしょうが、子どもを産むことが女性の重要な価値であるという流れについては共通項なのではないかと危ぐを持ちます。
 2001年9月、国連社会規約委員会からの日本政府に対する勧告では、日本社会の議会、公務部門、行政及び民間部門における専門的及び政策決定地位においても、広範な女性差別及び男女間に依然、存在する事実上の不平等について懸念が表明されました。国会議員の発言が余りに女性差別、人権無視、時代錯誤であることについて、国会議員そのものを取り替えた方がいいのではないかというぐらい、余りにひどいと思います。研修も必要ですが、国会の構成員を変えていきたいと考えています。お手元に配りましたのは、国会議員及び都道府県知事らの最近の女性差別事例ですが、こういう発言が立法機関からなされることについて、今後変えていきたいと思います。
 太田議員、森議員の発言いずれも、辞職に値すべきほどの、ひどい発言であると考えます。森議員に関しては本日、抗議文を手渡し、こちらの思いを伝えておりますので、今後どうするのかについてきちんと見守り、経過の中で場合によっては行動を起こしていきたいと考えています。


山内惠子女性委員長

 女性差別撤廃条約では子どもの養育に関して、前文で男女と社会の責務としています。5条では役割分担、それから偏見の問題をただせとあります。国会議員の皆さんに、もう一回勉強していただきたい。それから、このようなことが分からない議員には辞めていただきたいというのが、私たちの強い意思です。


大島令子衆院議員

 先週の金曜日(27日)に衆参の女性議員懇談会(の有志)で、太田議員の発言について抗議しましたが、太田議員の場合は政策秘書の方にまず、抗議文を手渡しましたところ「謝罪したい。どうしたらいいか」という問い合わせがありました。そこで15時15分から再度、ご本人に抗議し、その後(ご本人が)公に謝罪しました。今回は、元総理(の発言)ということで、どのような反省の弁が帰ってくるのか、楽しみにしたいと思っています。


山口わか子衆院議員

 最近気になるのは、国のために、国家のために役に立つような人間はいいが役に立たない人間はいらない、国のために役に立つ教育にしなければいけないというような雰囲気、個人を犠牲にするような発言が、とくに与党の皆さんから感じられます。例えば、私どもが有事法制について反論すると「非国民」というような野次が飛んでくる。個人が大切にされなくなっていることを心配しています。その一つとして、今回の女性蔑視・差別発言があると思います。この問題は、いま急にでてきたのではなく、昔からこのような資質を持っている方がいたのだということを、つくづく感じます。


福島瑞穂幹事長

 抗議文の中に、「納税義務を果たしている単身女性を無視する発言であり、全ての国民に公平であるべき福祉の理念を著しく曲解している」とあります。(森議員は)子どもを産んだ女性はいいが、子どもを産まない女性を税金で面倒を見るのはおかしいと言っています。福祉は皆に公平であるべきですから、この発言は本当におかしい。社民党や事務所にメールがたくさん来ているのですが、「数々の女性蔑視発言にガッカリしています。私は33歳の主婦です。結婚5年目になりますが、まだ子どもに恵まれません。自然妊娠を希望し、3年間、漢方治療をしています。そういう人間の気持ちを(踏みにじり)『産まないのは(身)勝手』とか『自由を謳歌している』という議員の発言は許せません。居眠りしている議員に払う税金は無駄ではないのか」というメールが入っています。
 先ほど、少子化対策基本法案の参議院での審議入りの話をしましたが、戦争の最中の1941年、子どもがいない25歳以上の独身女性、30歳以上の独身男性には独身税を課し、そのお金を5人以上の子どもがいる家庭に回すということが閣議決定されました。実施されたのかどうかまでフォローはしていませんが、閣議決定されました。つまり「産めよ、増やせよ」という時代に、子どもを持たない男性と女性が排除され、差別されたことがありますが、少子化対策基本法案を含め、そういう時代になっては大変だと思います。そのことが女性だけでなく男性も一緒になって本日、抗議をした大きな理由です。


森喜朗元首相(衆院議員)の発言

(6月26日 全日本私立幼稚園連合九州地区大会にて)

「子どもをたくさんつくった女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが、子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手といっちゃなんだけど、自由を謳歌して楽しんで、年取って……。税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」