8月15日にあたり、ここ千鳥ヶ淵国立戦没者墓苑において、すべての戦争犠牲者に対して、心から哀悼の意を表します。
わたしは、つい最近、アメリカのアイオワ州に住むロバートさんから、手紙と旗を受け取りました。その旗は、父が戦争に行くときに、同級生79人が寄書きをしてくれたものでした。
硫黄島で戦ったというロバートさんは、戦後間もない頃、熊本で、わたしの祖母から、この旗をもらったようです。家族に返したいとのことで、64年ぶりに、この旗が太平洋を渡って戻ってきました。
父は、去年亡くなりました。
昭和18年、18歳だった父は、この旗に見送られて、戦争に行こうとしたのです。
若い人たちが、戦争に行かされたことに改めて怒りを感じます。
父は、生き残ることができましたが、どれだけ多くの人たちの命が奪われたでしょうか。
戦争体験の風化が言われますが、64年ぶりに帰ってきたこの旗は、「戦争を風化させるな」と言っているようです。
わたしの家族に歴史と物語があるように、すべての人の家族に歴史と物語があるのではないでしょうか。政治の力によって、人々のいのちが奪われるという筆舌に尽くせないそれぞれの物語です。
6月23日の沖縄の慰霊式で、8月6日の広島で、8月9日の長崎で、全国各地の空襲があったところで、そして、兵士を送り出した家族に、外国から引き上げてきた家族に、それぞれの物語があります。アジアの国々にもそれぞれ、筆舌につくしがたい家族の、個人の物語があると思います。
生き残ることができた、あるいは、今生きているわたしたちがなすべきことは、二度と戦争の犠牲者を出さないように、不断に努力しつづけることではないでしょうか。
アメリカのオバマ大統領の核廃絶の演説は、世界に大きな希望を与えました。
被爆国日本だからこそ、日本は今こそ世界的な核廃絶運動の先頭に立つべきです。
社民党は、非核3原則の堅持と法制化、核兵器の先制不使用の宣言、北東アジアの非核地帯と、北東アジア地域の総合安全保障機構の創設などをいち早く提唱しました。これらの構想は、徐々に現実性を増しています。
一方で、憲法9条を変えようとする動きは強くなり、日本国憲法を踏みにじる政府の行為は、ますますひどくなっています。
国民投票法は、来年5月に施行されます。
国会に設置をされた憲法審査会を、自民党は動かそうとしています。
ソマリア沖に自衛隊は派兵されています。
平和憲法を変えさせない人々の願いを結集し、日本国憲法を尊重し、憲法9条を輝かせる新しい政治、新しい政権を作らなければなりません。8月30日に行われる総選挙は、そのための重要なステップです。
社民党は、自衛隊のインド洋からの即時撤退を強く求めます。
非核3原則の堅持と法制化を実現していきます。
憲法審査会を動かすことを阻止し、憲法改悪案作りをさせません。
侵略戦争と植民地支配の歴史を反省し、アジア太平洋の人々との和解と共生をめざすことは、私たちの責務です。
今、まさに歴史の転換点です。
主役は、市民のお一人おひとりです。
社民党は、戦争犠牲者の想いを偲び、平和の尊さに深く思いを致し、紛争や戦争による惨禍をもたらさないために、さらなる努力をしていくことを誓います。
戦争で亡くなられたすべてのみなさん、戦争の犠牲になる人を二度と出すことがないように、どうか見守っていてください。
わたしたちが、平和を作りだし、憲法9条を輝かせ、戦争の犠牲になる人を出さないようにすることを、見守っていてください。わたしたちに、そのための力を与えて下さい。
すべての人が平和のうちに生き、いのちを大切にする社会を作っていくことをお誓い申し上げ、わたしたちの決意といたします。
2009年8月15日
社会民主党党首
福島みずほ
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