2012年4月5日
社会民主党幹事長
重野安正
1.2012年度予算案は、本日、参議院で否決され、その後両院議員協議会を経て、憲法の規定に基づき、衆議院の議決通り成立した。政府・民主党は参議院で否決されたことの重みを真摯に受け止めるべきである。
2.2012年度予算案は、消費税増税が前提であり、所得税、法人税、資産課税に対する不公平税制は是正されていない。それどころか、大型公共事業の再開ラッシュや辺野古関係予算の22億円増、「動的防衛力」を構築する防衛関係費の実質増など、財界の新成長戦略や米国の要求に応えるものとなっている。また、子ども手当の変質、高校無償化や戸別所得補償の見直しは、政権交代で約束した公約の違反であり、国民への裏切りである。これでは、国民生活や地域経済は疲弊し、雇用不安の増大、社会保障・教育のセーフティーネットのほころびを広げるばかりであり、「日本再生」は果たせない。
3.東日本大震災からの復興、被災者や避難者の生活再建、雇用確保・安定について、復興庁は「査定庁」と揶揄され、東日本大震災復興交付金もきわめて使い勝手が悪いものとなっている。また、復興関係予算の多くがハード分野に傾斜し、被災者や避難者の生活・雇用に着目した支援措置が少ないこと、原子力関係予算の大胆な見直しもされず脱原発社会を志向するものとなっていない。これでは国民の命や暮らしを「守る」どころか「ないがしろ」にするものである。したがって、社民党は、2012年度政府予算案に反対した。
4.後半国会では、郵政民営化法改正案や消費税増税法案をはじめとする重要法案の審議や、TPP参加や原発再稼動問題などの重要な課題が焦点となる。社民党は、家計にダメージを与え、景気回復に逆行し、格差をさらに拡大させる消費税率引き上げには反対である。また、日本の第一次産業をはじめ様々な分野に打撃を与えるTPPへの参加、事故検証や安全基準を曖昧にしたまま原発の再稼動を強行することは断じて許さない。野田総理は、消費税増税に「不退転の決意」、「政治生命をかけて臨む」としているが、政府が今やるべきは、東日本大震災からの復興、原発事故の収束、国民生活の再建と景気回復に全力を挙げることである。社民党は、貧困対策や格差是正策、福祉関係予算、雇用対策、中小企業支援策、住宅対策に十分な措置を講じるよう求めていく。波乱含みの政局となることが想定されるが、社民党は、争点を明確にし、反消費税増税や反TPP、脱原発を願う多くの国民と反対運動の大きなうねりをつくりあげるとともに、震災復興及び被災者支援、国民の生活再建に向け全力を挙げる。
以上