さようなら戦争・原発大集会に1万3000人参加~憲法違反の「安倍国葬」に怒り
(社会新報9月28日号1面より)
安保法制の強行採決から7年目の19日、東京・渋谷区の代々木公園で、「さようなら戦争 さようなら原発9・19大集会」と題した集会が行なわれ、約1万3000人が参加した。改憲や軍拡、原発再稼働・新増設、そして安倍元首相の国葬に対し、怒りの声を上げた。集会後、参加者は2コースに分かれ、渋谷と原宿の近辺をデモ行進した。
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人、人、人…集会の開始前から、会場となった代々木公園の野外ステージ周辺には「国葬反対」「改憲発議と大軍拡やめろ」などのプラカードを持った大勢の人々でごった返していた。時折強い雨に見舞われるなど悪天候の中、さらに多くの人々が集まってくる。
主催団体の一つ、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の菱山南帆子さんの司会で集会が始まると、同実行委の共同代表の小田川義和さんがあいさつ。改憲の動きや軍拡、原発、安倍元首相の国葬といった問題について「市民の声を聞かない力を発揮しているという一点で共通している」として「岸田政権にNOをつきつけよう」と呼びかけた。
なぜ原発推進なのか
続いて立憲野党各党からの連帯あいさつ。立憲民主党の阿部知子衆院議員、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ党首が発言した。ジュゴン柄のかりゆしウェア姿の福島党首は、「7年前のこの日、安保関連法、戦争法が強行成立した。違憲の法律、皆で廃止させていこうではないか」と訴え、「世界の地震の1割が日本で起きる。福島第1原発事故も終わっていない中、なぜ原発推進なのか」「安倍元首相の国葬には法的根拠はない。閣議決定しただけ。民主主義の力で国葬をやめさせよう。閣議決定で決めた国葬を、閣議決定で撤回することは今からでもできる」と畳みかけると、拍手喝采を浴びた。
「今度こそ、市民を怒らせたらどうなるか分からせてあげよう」と宣言したのは、主催団体の一つ、「さようなら原発実行委員会」の呼びかけ人で作家の落合恵子さん。「(原発事故が起きた)2011年から、誰かの喪失が、誰かの悲しみが解決したか。何も解決しないまま、『アンダーコントロール』と言った人の国葬に私たちは組み込まれるのか? お断りだ」と気勢を上げた。
二階氏の暴言に怒り
改憲問題対策法律家六団体連絡会の大住広太弁護士は「安倍元首相の憲法破壊の政治を『実績』として認められるのか」と問い、国葬反対の世論に対し、自民党の二階俊博元幹事長が「黙って手を合わせて見送ればいい。日本人ならば」などと発言したことに「どこまで国民をバカにしているのか」と憤った。
総がかり行動青年PTの井田敬さんは「国葬をやろうとしている人たちは『純粋に人の死を悼みたいだけなんだ』と言うが、沖縄戦の犠牲者の遺骨が含まれる土砂で、米軍基地を造ろうとしているのは誰なのか」と矛盾を突いた。
女性の貧困が深刻化
全国一般労働組合東京南部執行委員長の中島由美子さんは、「この10年で女性の貧困がより深刻になっている」と語り、「労働者の代表は国葬に反対すべきだと思う」と、連合の芳野友子会長が国葬参加の意向を示したことへ疑問を呈した。
福島原発刑事訴訟支援団の佐藤知良団長は、旧東京電力経営陣の刑事責任を追及する裁判への取り組みを報告。また、汚染水の海への放出の政府決定に「『アンダーコントロール』と言って五輪招致したのに許せない」と怒りの声を上げた。
東海第2原発運転差止訴訟原告団の大石光伸共同代表は、岸田首相が内閣官房に設置したGX実行会議に参加している元東電の「有識者」が「原発事故の賠償は国費で」「各地の差止訴訟が相次ぐ中、原発の稼働を国が政治決断すべき」との提言をしていることを批判した。「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会の毛利孝雄さんは「岸田首相は『民主主義を守り抜く決意を示すため国葬を行なう』と言うが、安倍政権の8年8ヵ月こそ民主主義とかけ離れたものだったのではないか」と厳しく指摘した。
集会を締めくくったのは、ルポライターの鎌田慧さん。岸田首相の支持率が急低下し、国葬に「反対」が7割を超えている世論調査もあるとして、「これが世論だ。むちゃくちゃな政治を変えていこう」と呼びかけた。
【メモ】さようなら原発1000万人アクション実行委が発足当初から集めている脱原発署名は、今年7月時点で約882万筆に達し、現在も募集中。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」はこの間、「国葬」反対のデモや集会を多数行なっており、「国葬」当日の27日も、国会正門前で14時から大規模デモを行なう。同実行委は「弔意の強制に対抗するため、派手な服を着て、鳴り物を持って参加してほしい」と呼びかけた。