(社会新報11月23日号1面より)
パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃が激しさを増し、民間人を中心に死傷者が激増している。
イスラム組織ハマスによる10月7日の襲撃でイスラエル側に約1200人の犠牲者が出た上、外国人を含めて240人以上が連れ去られたという。
パレスチナ人弾圧
イスラエルはこれまでヨルダン川西岸地区で地域を分断し、国際法に違反する「占領地への入植」も強引に進め、パレスチナ人の土地を奪い取ってきた。ガザ地区では全体を監獄化し、住民を抑圧してきた。抵抗するパレスチナ人を武力で弾圧・殺害してきた。
10月7日のハマスによる襲撃はテロであり、許されるものではない。だが、イスラエルによるこれまでの蛮行・テロ行為も規模に応じて同じ基準で批判されるべきであり、今回の問題に限っても、軍事攻撃の対象と均衡性の面でイスラエルには全く正当性がない。
米国を中心とする欧米諸国は、これまでイスラエルの非道・蛮行・国際法違反の行為を擁護してきた。だがそうした国々に対し、ウクライナ問題も含めて「二重基準だ」との批判が世界中で湧き起っている。
それでも、イスラエル側は「ハマス壊滅」を掲げ、ガザ地区で子どもを含む一般人の犠牲をいとわずに軍事攻撃を続けている。まさに集団懲罰の様相だ。
パレスチナ側の犠牲者は1万1000人以上、行方不明者は約2500人に上る(10日現在)。犠牲者のうち4割以上は子どもだ。
イスラエルはガザ地区を孤立させ、食料・水・医薬品・燃料などの搬入を遮断し、電力の供給も止めた。そのため、多くの病院は閉鎖に追い込まれ、人々は生存の危機に陥っている。
集団虐殺やめろ!
これら行為は国際人道法に違反し、世界中から批判が湧き起こっている。
こうした危機的状況の中で、11月10日の夜、東京・渋谷区の国際連合大学前で「ガザでの虐殺」に抗議するミニ集会が行なわれた。呼びかけは「パレスチナに平和を!緊急行動」。参加者は約4000人(主催者発表)に達した。
日本国際ボランティアセンターの伊藤解子事務局長は「この1ヵ月間、ひどい殺りくが行なわれている。市民を巻き込んだ攻撃は、国際人道法に違反する。政府は即時停戦を求めてほしい」と訴えた。
ガザ出身のハニンさん(26)は、家族や友人らの安否を気にかけ、「ガザへの空爆は戦争ではなく21世紀の大量虐殺だ。生中継の映像が真実を暴露している。世界は(イスラエルなどの)プロパガンダのカーテンを破っている。ガザへの攻撃をやめさせて」と熱い思いを語った。
集会後、参加者はパネルやプラカードを掲げ、「虐殺やめろ」「子どもを殺すな」「今すぐ停戦」「恥を知れ、イスラエル(USA)」などと、英語と日本語を交えて道行く人たちに訴え、渋谷の街をデモ行進した。
若者も不正義に抗議
2日後の12日の午後、東京・渋谷ハチ公前広場で「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う若者有志の会」が呼びかけたスタンディング・デモが行なわれた。約800人(主催者発表)が集まり、パレスチナへの連帯をアピールした。
ガザ出身のアイダさん(36)は「今回のガザへの軍事攻撃は、戦争ではなく民間人への戦争犯罪だ。私たちが人間であることが問題なのか」と抗議した。
パレスチナ人と日本人の血をひくタティアナさん(25)は「イスラエルはパレスチナ人に対しジェノサイド・民族浄化を行なっている。かつてナチ・ドイツがユダヤ人に対し行なったことと変わりがない」と批判した。
10日の集会でも発言したハニンさんは、「パレスチナの人々の苦しみから目を背けないでほしい」と訴えた。
多くの人が「ガザでの虐殺」に抗議し、表参道や渋谷の街をデモ行進した(10日)。