社会新報

福島党首が参院予算委で岸田首相を追及~ガザ病院への攻撃は明白な国際人道法違反~憲法の尊重擁護義務を守れ~

福島党首は、改憲に前のめりの岸田首相の姿勢を厳しく批判した(11月29日、参院予算委)

イスラエル軍の行為の法的評価は難しいと二枚舌を弄する岸田首相(同)

 

(社会新報12月14日号1面より)

 

 社会民主党党首の福島みずほ参院議員(会派=立憲・社民)は11月29日の参院予算委員会の締め括り総括質疑で、岸田文雄首相に対して、パレスチナ自治区ガザでの虐殺問題や殺傷能力のある武器輸出問題、改憲問題、関東大震災時の中国人・朝鮮人虐殺問題などについて厳しくただした。
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 福島党首は開口一番、「イスラエル軍によるガザの病院への攻撃は明白な国際人道法違反だ」と怒りを込めて切り出した。「すべての病院にハマスの拠点があるわけではない。いま子どもたち、患者たちが亡くなっている。ジェノサイド(大量虐殺)を止めることを日本はやるべきだ」と岸田首相に迫った。これに対して、首相は「無辜(むこ)の市民を理由なく殺すのは国際法違反」と一般論を述べたが、「ハマス側が病院を指揮統制センターとし、テロリストや司令官の隠れ家としているという情報もある」「イスラエル軍の行為の法的評価は難しい」と逃げの答弁に終始した。
 福島党首はすかさず、「これは二枚舌だ」と語気を強め、「平和的生存権が全世界の人々にあるとうたう憲法を持つ日本で、なぜジェノサイドを止めるために動けないのか。法的評価をしないのは米国への忖度(そんたく)か」と厳しく批判した。

密室での武器輸出協議

 次に福島党首は、殺傷能力のある武器輸出問題に関して、「日本は戦後長い間、武器を海外に売らなかった。その意味について、あらためてなぜなのか」とただした。首相は「それは憲法の平和主義に基づく対応の結果」と答弁。党首はこれに対し、「現在、殺傷能力のある武器の輸出を与党の一部議員の話し合いで進めている。憲法の平和主義と矛盾しないか」と問いかけた。
 党首は「総理は『平和主義』を標榜(ひょうぼう)しながら、武器輸出を装備品移転と言葉を置き換え、結果的に武器輸出を推し進めている。輸出要件や手続きの透明性を議論しても、いったん海外に出た武器は誰が手にするか分からない」と指摘した。
 その上で、「密室で決めないよう強く要望する」と訴えた。
 また、党首は憲法改正問題について「総理自身が改憲の条文化の促進を期待するのは憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条に照らして適正と言えるのか」と問いただした。さらに、「性同一性障害特例法の性別変更に伴う生殖機能手術を最高裁が違憲と判定した。政府は人権を守っているのか。憲法を踏みにじっているのに改憲を言う資格はない」と批判。「総理は任期中に改憲したいと言い、改憲手続きへの期待を述べた。総理の任期と改憲に何の関係があるのか。改憲ありきの姿勢が露呈した」と指摘した。
 また、大阪万博予定地の土壌汚染について「有害物質があるのに土地改良をしないのか」と述べ、開催の中止を求めた。

歴史の事実に向き合え

 最後に、関東大震災時の中国人の虐殺問題について、党首は外務省の外交史料館に1924年(大正13)当時の外相が在中国公使に宛てた電報などに慰謝料支払いを閣議決定したとの記録があると言及。「殺害を事実として認めたのではないか」と指摘した。岸田首相は事実関係への具体的言及を避け、「特定の民族や国籍の方々を排斥する不当な差別的言動は許されない」と一般論を述べるにとどまった。
 党首が示した電報は、1924年5月27日、当時の外相から在中国公使に宛てて送ったもので、「同情に堪えざる次第なるをもって、帝国政府は善隣の好誼に顧み、慰謝料として金20万円を支出」と書かれている。党首は「これを虐殺の記録と言わずして何が記録なのか」と強調。上川外相は電報の存在を認めたが、「事実関係を把握することができる記録は現時点では見当たらない」と従来の政府見解を繰り返すばかりだった。

岸田首相に鋭い質問をする福島党首(手前右端)。