関西生コン弾圧事件で第5回検証シンポジウム~中央労働委員会は変質したのか?
(社会新報8月15日号5面より)
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)への弾圧事件の第5回検証シンポジウム「中労委は変質したのか?」が7月3日、連合会館で開催され、100人が参加した。
光明も見えてきた
初めに、小谷野毅全日建書記長が最近の報道や判決について報告。「関西生コン事件のMBSドキュメンタリー番組が放映され、『東京新聞』でもこの事件が大きく報じられるなど、報道の流れが変化した。6月には国連人権理事会の『ビジネスと人権部会』で人権を尊重するよう促す報告もあり、少し光明も見えてきている。刑事裁判では3件11人の無罪判決が確定したが、これに逆行するような判決や中労委命令が相次いでいる」と報告した。
映画『ここから 「関西生コン事件」と私たち』の上映活動についても、「国内93ヵ所で上映会を実施して、4300人が参加。韓国語版が制作されて、先月のソウル人権映画祭に招待されて上映された」と報告した。
次に日本労働弁護団事務局長の竹村和也弁護士が特別報告。「中労委は不当労働行為救済機関なのに、組合の正当な行為の範囲を逸脱していると安易な判断をした。また審理を不必要に長期化させ、当事者の意向を聞かないで一方的に和解案を押しつける。この傾向は各都道府県労委にも波及している。活発な労働組合運動と労働委員会の積極的な活用が大切だ」と指摘した。
結論ありきの中労委
その後、関西生コン事件弁護団によるパネル討論会が開催された。
最初に三輪晃義弁護士が「この事件は、大阪広域生コンクリート協同組合が、関生支部のストを環境整備費の支払い停止に対する報復と見て、組合つぶしの意図を持って行なったもの。にもかかわらず免責された」と指摘。久堀文弁護士も、「大阪府労委で全面勝利となっても、中労委でほとんどひっくり返されている。最初から結論ありきの中労委の姿勢はおかしい」と批判した。
関西生コンを支援する会共同代表の海渡雄一弁護士は、「中労委は企業別労働組合への理解はあるが、産業別労働組合にはなく、最初から不当な労働行為と見ている。中労委はストの違法性を審査する機関ではない」と指摘し、さらに「国労への不当労働行為の際、中労委が素早く対処していた姿勢が今では失われている。ただ刑事判決では無罪を勝ち取っている流れもあるので、これに乗じて、マスコミを通じてこの問題を広く訴えていくことが大切だ」と訴えた。
なお7月11日、関西生コン事件の国家賠償請求訴訟の口頭弁論が東京地裁で行なわれ、支援団体を含めた90人の激励集会が開かれている。