社会新報

【さようなら原発全国集会】命をつなぐ地球環境の保護~原発回帰の自公政権打倒を

横断幕を持ちデモ行進の先頭に立つ(左2人目から)佐高、鎌田、落合の各氏。 (9月16日、代々木公園周辺)

代々木公園には5000人が集まった。

 

(社会新報10月3日号1面より)

 

 さようなら原発全国集会が9月16日、東京・代々木公園で開催され、脱原発や気候危機の問題に関心を寄せる労働組合や生活協同組合、市民ら約5000人が参加。集会後に渋谷や原宿をデモ行進した。
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 集会では、中心となった野外ステージで、全国各地から集まった市民運動家がリレートークを行なった。
 最初に評論家の佐高信さんが発言。「自民党総裁選の候補の中で原発をやめようという者が一人もいない。特に河野太郎はふざけている。脱原発と言っていたのに、ひっくり返った。私たちは(原発の)特権を討つ闘いをやめるわけにはいかない」と力強く訴えた。

女川の再稼働許さぬ

 次に、「女川原発の再稼働を許さない! 宮城アクション」の多々良哲さんが登壇。「東北電力は先日、女川原発2号機の燃料装荷を完了し、この11月にも再稼働を強行しようとしている」と危機感を募らせた。
 「女川原発は福島第1原発の同型で過去3度も基準値震度を上回る揺れに襲われた。耐震補強が行なわれたが、それを超える地震が来ない保証も全くない。半島部で複合災害が起これば避難もできず屋内退避もできないことが能登半島地震ではっきりした。女川も同じリスクがある」
 福島県から参加した「これ以上海を汚すな! 市民会議」の織田千代さんは、「福島原発事故に由来する汚染水を海洋に放出する理由も今や根拠を失ってきている。(事故を起こした炉心から)取り出したデブリの置き場が必要だからという理由も、(失敗が相次いでいる)現在のデブリ取り出しの実態を見ればとてもあり得ない」と指摘した。
 福島原発事故後に甲状腺がんになった若者が東電を訴えた裁判を支援する「3・11甲状腺がん子ども支援ネットワーク」からは阿部ゆりかさんが発言。「原告の多くの方が再発を経験し、過酷な状況に直面している」「小児甲状腺がんの発症率は100万人に1~2人といわれているが、事故当時18歳以下であった38万人の福島の子どもから300人もの人が発症している。被告はスクリーニング調査の結果だとしているが、裁判の中で明らかにしていきたい」と語った。

東海第二の隠蔽体質

 東海第二原発運転差止訴訟原告団の相楽衛さんは「東海第2原発では防潮堤の不良工事があったことが業者の内部告発で明らかになった」とその隠ぺい体質を批判。「原子力規制庁も工事の検査はしない」として、原子力規制庁が原発を審査し、再稼働を認めるという現在の制度自体が「ザル」と指摘した。
 作家の落合恵子さんは主催者として発言。「私たちは年を重ねて学んだ。決して諦めないということだ。諦めずにやっていこう。必ず正義は打ち勝つ」と訴えた。
 今回の集会は温暖化(気候変動)対策も求めるものであり、若者たちによる環境団体「Fridays For Future Tokyo」から中村千博さんと二本木葦智さんが発言。中村さんは、「気温が上昇してある一定の温度を超えると、人間には止められない大きな変化が地球にもたらされる」として、その対策が急務だと強調した。二本木さんは「この10年で気候変動への対策をしなくてはならない」と訴え、「原発再稼働は非現実的で、気候変動への対策ではない」と批判した。 

国の関与なき安全協定

 青森県から参加した「核の中間貯蔵施設はいらない! 下北の会」の栗橋伸夫さんは、「青森県と、むつ市、事業者のリサイクル燃料貯蔵が、この8月に安全協定を結び、使用済み核燃料が今月中にも運び込まれる。この安全協定には国や政府の関与は一切なく、事業者の実質的なオーナーの東電や日本原電も立ち会うだけ」と国や電力会社の無責任ぶりを批判した。
 新潟平和運動センターの有田純也さんは、柏崎刈羽原発の再稼働について、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという。自公政権は、福島原発事故、能登半島地震にも学んでいない。この国の政治を変えよう、原発を止めよう」と訴えた。 
 最後にルポライターの鎌田慧さんが「原発を稼働させて再生可能エネルギーへの道をふさぐ、世界史に逆転するような政策を日本の政府はやってきた。不合理な社会を変えていこう」と呼びかけ、集会を締めくくった。