(社会新報12月5日号)
2011年3月の福島第1原発の過酷事故以来、新潟県では専門家からなる委員会を設置し「3つの検証」に取り組んだ。「原発事故」「原発事故の健康や生活への影響」「実効性ある避難計画」の検証であった。さらには3つの検証を総括的に検証する「検証総括委員会」を設置し、池内了委員長を中心に取り組んだ。
ところが、3つの委員会を立ち上げた米山隆一前県知事に代わった花角英世県知事は、池内総括委員長と検証の進め方やまとめ方で意見が異なることを理由に、池内委員長の再任を行なわず事務方で勝手に3つの委員会の総括的まとめを強行した。
これに対し、池内さんや前検証委員が市民検証委員会を立ち上げ、県内各地でシンポを開催し、最終的に池内さんが検証総括をまとめた。
こうした運動が盛り上がる一方で、岸田前政権は原発推進政策に転換し、経産省を中心に、県に対して柏崎刈羽原発再稼働を強力に押しつけてきた。
花角県知事は就任時に、柏崎刈羽原発再稼働については、是非の判断を自ら行なった後、県民に信を問うことを言明していた。さらに今年1月の能登半島地震後、道路建設も含めて実効性ある避難を国に要望するとの態度を表明し、慎重姿勢になっている。
これに対し、国は再稼働に前向きな姿勢を見せてきており、いつ知事が慎重姿勢を変えるかもしれない状況となっている。
この状況に危機感をもった県内の反・脱原発の運動家や、市民検証運動を通して原発への意識が高まった市民らが、丁寧な議論を重ね、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」を立ち上げた。
総選挙をにらみつつ準備を行ない、選挙終了後ただちに県民投票条例制定を求める直接請求を県に提出。10月28日から12月28日まで県内全域で署名活動を展開中だ。議会に条例制定を求めるには、県の有権者の50分の1となる署名36404筆以上が必要だが、これを大きく上回る20万筆を目標に、県民投票を求める声の大きさを示そうと、懸命の署名活動を行なっている。
署名活動への県民の反応はよく、署名簿の冊数は27000冊(1冊に10人)を準備している。印刷費だけで400万円になるが、全国から続々とカンパが寄せられている。この運動の成功に向けて、さらなる協力を呼びかける。