染実行委員長
(社会新報12月5日号1面より)
憲法理念の実現を目指す第61回大会(護憲大会)が11月24日から3日間、岡山市で開かれた。主催はフォーラム平和・人権・環境や地元実行委員会などで構成する大会実行委員会。先の衆院選で憲法改正を志向する勢力が改憲発議に必要な国会議員の3分の2を割り込んだものの軍拡の動きが顕著な中、24日に開かれた開会総会には1300人が参加した(分科会報告は次号に掲載)。
開会総会で主催者を代表してあいさつした染裕之実行委員会委員長(平和フォーラム共同代表)は総選挙の結果に触れ、「予断を許さない状況。石破首相は総選挙後の記者会見で改憲への意欲を示しているし、解釈による改憲は進んでいる」と警鐘を鳴らした。
地元実行委員会委員長の鳥越範博岡山県平和運動センター議長に続いて社民党の大椿ゆうこ副党首(参院議員)が連合、立憲民主党の代表と共に、来賓としてあいさつした。
大椿副党首、平和的生存権訴え
大椿副党首は「私のSNSでの投稿に『外国人は国民ではない』という反論が返ってくるが、憲法前文は全世界の人々が平和的生存権を持っていることをうたっている。日本では376万人の外国人が私たちと一緒に生活している」と述べた上で、兵庫県知事選に言及。デマや誹謗(ひぼう)中傷が飛び交った選挙戦について「改憲の是非を問う国民投票の予行演習ではないか」と指摘した。そして「総選挙の結果は政治を変えることができることを示した」として、今後の闘いへの結集を呼びかけた。
宮古島から避難の動き
続いて「日本国憲法は日本のアイデンティティーか」をテーマにシンポジウムが開かれた。パネリストには名古屋学院大学教授の飯島滋明さん、沖縄・宮古島市議の下地茜さん、NGOピースボート共同代表の畠山澄子さんが務めた。
パネリストからは「『台湾有事』の前に宮古島から住民を避難させようという動きが進んでおり、『日本有事』になる可能性もある」(下地さん)、「宮古島だけの問題か。戦争に向け、まず狙われるのが空港や港湾だ。ミサイル基地は日本を守るためではなく、自衛隊に中国と戦わせようとするものだ」(飯島さん)、「日本被団協のノーベル平和賞受賞はうれしい。友人と対話すること、対話を草の根から行なうことが大切」(畠山さん)などの発言があり、憲法理念を定着させる取り組みを強めていくことを確認した。
遠藤三郎賞に江本さんら
大会最終日の閉会総会では地方からの報告として,①福島第1原発をめぐる状況について(福島)②県庁から11㌔圏内にある島根原発の再稼働問題(島根)③南西諸島の軍事化に反対する沖縄現地からの報告④水俣病と柏崎刈羽原発再稼働をめぐる県民投票に向けた取り組み(新潟)が報告された。
なお平和・人権運動で功労のあった個人・団体に贈られる「遠藤三郎賞」には、北海道平和運動センターで活動してきた江本秀春さん、月2回、街頭で活動する八の日(日米開戦)・平和を守る女たちの会(徳島)、長崎市平和公園で毎月、座り込み活動を続ける反核9の日座り込み行動(500回を超えた)の3団体が受賞。また「平和運動賞」として、核兵器廃絶平和都市宣言の活動で静岡県平和・国民運動センターが、それぞれ受賞した。大会は最後に3日間のまとめを谷雅志事務局長が提起。憲法で未来につなぐ平和の思い、憲法理念の実現を目指す第61回大会アビールと併せて採択した。
次回の護憲大会は来年11月8日から3日間、神奈川県横浜市で開催される。