社会新報

沖縄を犠牲にするな ~ 国会正門前の連帯行動に550人

訴える新垣副党首。(11月30日、国会正門前)

大椿副党首。

 

 (社会新報12月19日号2面より)  

 

   沖縄本島では、県民の意思を無視して辺野古米軍新基地建設が強行され、軟弱地盤の大浦湾への土砂埋め立てが続いている。  同時並行で、台湾有事を前提とする沖縄周辺・南西諸島での自衛隊の軍備増強・ミサイル基地化が推し進められている。

「米国の戦争」にNOを

 こうした状況下で、「沖縄を戦場にするな」などと訴える街頭行動が11月30日、国会議事堂正門前で行なわれた。主催は「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。  約550人(主催者発表)が集まり、「辺野古新基地建設を許さない」「戦没者の遺骨を埋め立てに使うな」「南西諸島の戦場化を許さない」「米兵の性暴力の隠ぺいを許さない」などとコールを繰り返した。  沖縄平和運動センター顧問の山城博治さんは電話メッセージで、中国との戦争を前提にして南西諸島でミサイル基地など軍事施設が次々と造られる現状について、「台湾問題は中国の国内問題であり、私たちがなぜ中国と戦争しなければならないのか」と疑問を呈した。

 また、米軍が南西諸島の島々を移動して中国にミサイル攻撃を仕掛けるEABO(機動展開前進基地作戦)などが計画されていることに対し、「米軍が沖縄から出撃して中国軍と戦闘になり、自衛隊まで参加すれば、反撃を食らって沖縄全域が戦場になる。ひいては日本全土が戦場になる」と警鐘を鳴らした。

矢面に立たされる沖縄

 「うりずんの会」の伊波洋一参院議員(沖縄の風)は、南西諸島を中心に進む軍備増強・ミサイル基地化ついて、一昨年12月に閣議決定された安保関連3文書に基づく動きと指摘した上で、次のように語った。  「有事になれば米軍が日本を守りに来ることになっているが、(実際は)来るはずがない。米国は人工衛星の情報や弾薬を送るかもしれないが、日本に中国と戦争をさせて横目で見ているだけだろう。日米同盟はもはや日本を守る同盟ではなくなっている」  日本政府は昨今、「沖縄有事」の際に南西諸島の南西部に位置する先島諸島の約12万人を九州などに避難させる計画に基づき、順次説明会を行なっている。  こうした状況について、伊波さんは「先島諸島では地域社会そのものがなくなる。その状況下で米軍は自由に戦闘できるが、実際は自衛隊だけでやることになるだろう。国土を戦場にする安全保障について、私たちはその是非を問わなければならない」と指摘した。その上で、「沖縄は独立したほうがいいと言う人もいるが、日本こそが米国から独立すべきだ」と語った。

沖縄を戦場にするな

 社民党副党首で沖縄2区選出の新垣邦男衆院議員も、こうした沖縄の危機的状況を前にして「沖縄県民がまた戦争に巻き込まれることを決して許してはならない。『多少の犠牲は仕方ない』と言う人もいるが、沖縄県民を犠牲にすればいいのか。とんでもないことだ」と力強く語った。

 同副党首の大椿ゆうこ参院議員は、石破茂氏が首相就任前に「日米地位協定の見直しをする」と主張していたにもかかわらず、首相所信表明演説でそこに触れなかったことを取り上げ、「石破さん、あなたが掲げた『日米地位協定の見直し』を実現していきましょう」と訴えた。  その他、沖縄で頻発する米兵による性暴力、辺野古の環境破壊、奄美大島からの土砂搬出問題、馬毛島基地反対運動、全国に広がる戦場化などについて、多くの貴重な報告があった。