(社会新報2021年11月24日号3面《主張》より)
「野党共闘はなぜ失敗したのか」。衆院選終了直後から、こうした報道や批判が後を絶たない。289選挙区のうち、220選挙区で候補者の一本化を実現し衆院選に臨んだ。しかし、自民党は前回より議席を減らしたものの、絶対安定多数の261議席を獲得。立憲民主党は110議席から96議席に、共産党も12議席から10議席に議席を減らし、社民党も沖縄2区は死守したものの、それ以上の議席獲得には及ばなかった。
目指した議席増、政権交代を実現できなかった事実は重く受け止める。しかし、「野党共闘を続けるべきではない」と結論を下すのは、あまりに早計だ。そういう世論形成に飲み込まれる前に、野党共闘の効果をより明確に発揮するために、今回何が欠けていたのか、野党が膝を付き合わせて検証することが先ではないか。
野党共闘の課題の一つは統一候補決定のタイミングだ。ギリギリまで統一候補として決まらず、制作物が間に合わないとヒヤヒヤした候補者も多かったことだろう。候補者は、野党統一候補と名乗るだけで、とたんに得票数が増えるわけではない。多くの有権者には野党共闘の意味と効果が浸透していない。だから「野党共闘は野合だ」との批判に取り込まれてしまう。
そこを克服するためには、各選挙区で、候補者と市民が野党共闘の運動をつくり、地域に浸透させていく時間が必要になる。選挙本番直前に統一候補に決まっても、そんな運動をつくる余裕などない。統一候補が各政党の支持母体からの推薦・協力などを十分に得ることもできず、結果的に野党共闘の効果がないままに終わってしまう。
政党間でのせめぎ合いがあり、選挙区調整に時間がかかるのは理解できるが、野党共闘の効果を引き上げたいなら、野党統一候補を早期に決定し、選挙区で長期的な野党共闘の運動を育てていくことが鍵となる。
大阪で19選挙区中15議席を獲得し、第3党に登り詰めた日本維新の会は、野党共闘を「野合だ」と批判しながら、自身は公明党と候補者調整をしていたことを馬場幹事長が認めている。にもかかわらず、野党共闘を批判するのは、それが政権と補完勢力にとって脅威だからだ。効果的な野党共闘を実践できていない段階で結論を出してしまうのは相手を利するだけ。今後も野党共闘を継続し、効果を上げるため、野党が歩み寄り、知恵を出し合おう。