社会新報

【主張】辺野古基地設計変更を不承認 玉城沖縄県知事の決定を歓迎する-沖縄や南西諸島を戦場にさせない!-

(社会新報2021年12月8日号3面《主張》より)
 

沖縄県の玉城デニー知事は11月25日、名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府が申請していた設計変更を不承認とした。社民党はこの決定を歓迎する服部良一幹事長の談話を26日に発表した。

政府はこの間、「市街地に囲まれた普天間基地の危険を取り除くには辺野古への移設が唯一の解決策だ」と主張してきた。

しかし、その主張は1996年の日米合意から4半世紀が経過した現在、沖縄米軍基地をめぐる状況の変化や完成の見通しすら立たない工事の現状などから破綻が明確になっている。

状況の変化の大きな要因はいうまでもなく米中対立の激化である。米国は同盟国の協力を得ながら軍事面での中国封じ込めを進めている。台湾をめぐる緊張が高まるなかで米中戦争の可能性も指摘されている。

こうした動きと辺野古新基地建設が無関係であることはあり得ない。米中戦争となった場合、米国は日本を拠点にしなければ戦えない。米中戦争で日本の基地は出撃拠点であり、中国からすれば攻撃目標となる。

戦争が勃発すれば、日本は戦争に巻き込まれることになる。とりわけ沖縄は最前線に位置する。沖縄を再び戦場にさせてはならない。

さらに新基地予定地に「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤や活断層の存在が明らかになっている。だが、政府は軟弱地盤の存在を早期に把握しながら明らかにしない不誠実極まりない態度を取り続けてきた。工期は当初の8年から12年に延長され、費用も当初予定の2・7倍の9300億円に増える。こんなでたらめな工事を認めることはできない。

玉城知事は「完成の見通しが立たず、事実上無意味な工事をこれ以上継続することは許されない」と国を批判したが、当然の指摘である。

ところが、岸田政権は11月26日の閣議で21年度補正予算案を閣議決定したが、年度を通した防衛費としては初めて6兆円を突破した。このなかには辺野古への米軍新基地建設費として801億円が盛り込まれている。

2022年は沖縄にとって本土復帰50周年という節目の年に当たる。また1月には辺野古を抱える名護市の市長選、夏の参院選、秋の県知事選などが続く〝選挙イヤー〟だ。

社民党は「平和な島・沖縄」の実現を願う沖縄県民とともに戦う。

 
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