(社会新報2021年5月12日号1面より)
社民党党首 福島みずほ
コロナ禍の中、国民の命と暮らしが守られていません。PCR検査を受けられる体制づくりもなかなか進まず、感染拡大が止まりません。憲法上のさまざまな権利が侵害されています。
健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を定めた憲法25条、個人の尊重と幸福追求権を定めた憲法13条などが保障されていない人が多く存在しています。憲法25条から生活保護法ができましたが、生活保護の受給にたどり着けない人たちもたくさんいます。菅首相は自助を強調します。しかし、コロナ禍の中、まさに公助、政治の出番です。憲法のまさに出番です。
菅首相が学術会議の名簿から6人の学者の任命を拒否したことは、憲法23条が定める学問の自由を侵害しています。報道への介入は、憲法21条が定める表現の自由を侵害するものです。
デジタル庁関連法案は、個人情報の保護規定が極めて不十分で、プライバシー権を保障する憲法13条に違反しているのではないでしょうか。労働基本権も十分に守られていません。
防衛予算が毎年過去最高を記録し続け、21年度予算では5兆3,000億円を超えました。辺野古の新基地建設や南西諸島における自衛隊配備の問題は、憲法前文が定める平和的生存権を侵害しています。2015年に強行採決された安保関連法・戦争法は集団的自衛権の行使を認めるものであり、明確に憲法9条に反しています。憲法違反をやめさせ、憲法を活(い)かしていく不断の努力が、私たち主権者に求められています。
札幌地裁は、同性婚を認めないことは憲法14条が保障する法の下の平等に反するとの判決を出しました。現行民法の規定が、憲法に違反するとしたわけです。立法が必要です。選択的夫婦別姓を求める裁判も、憲法上の権利を根拠に闘われています。ジェンダー平等を求めるさまざまな動きは、憲法14条や13条を実現しようというものです。安保関連法・戦争法違憲訴訟は、憲法9条を守るための闘いです。脱原発を実現しようとすることは、生存権や幸福追求権を実現することです。
憲法を守り活かすために頑張っている多くの人たちと連携し、主権者の皆さんたちと憲法を活かすために全力を尽くしていきましょう。憲法改正のための国民投票法改正案の採決を許さず、憲法を活かしていきましょう。